はじめに
この記事の内容は、『エフォートレス思考』第13章 AUTOMATE -自動化- 勝手に回る「しくみ」をつくる
の要約です。
この章では、そのつど考えることをやめる
大切さを説明しています。
この記事の文字数は約2500文字です。
約5分で読むことができます。
第13章 AUTOMATE -自動化- 勝手に回る「しくみ」をつくる
ある日、隣に住んでいた夫婦に興味深い話を聞いた。
夫の方が最近膝の手術をしたのだが、なぜか回復が思うようにいかないというのだ。
手術は成功したのに、痛みはどんどん増していく。
そして何週間も経ってから、手術中のミスで小さな器具が膝に埋まっていたことが判明した。
手術を担当したチームは高度な訓練を受けていた。
それなのに、なぜこのようなミスをしてしまったのだろうか?
理由は単純で、記憶に頼っていたからだ。
そのせいで必要な手順を忘れてしまったのだ。
「しっかり注意していたら」といいたくなるが、著者はこう考えた。
「もしも注意する必要がなかったら?」
イギリスの数学者で、のちにアメリカで哲学者として活躍したアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドはこう言った。
「文明の進歩は、何も考えずに実行できる重要な作業の数を増やすことによって実現される」
つまり、「できるだけ多くの重要な行動を自動化すべき」ということだ。
この章では、勝手に回る「しくみ」について紹介する。
♢脳のメモリを無駄づかいしない方法
1935年、航空機メーカーのボーイング、マーチン、ダグラスの3社は新型の長距離爆撃機を製造するという大きな契約を巡って競争していた。
大方の予想では、ボーイング社が勝つと見られていた。
ところが、飛行実験で悲劇が起こった。
離陸してまもなく、失速し急激に傾いて墜落してしまったのだ。
調査の結果、17年以上の経験を持つ陸軍航空隊のパイロットだったヒル少佐が、操縦用の方向舵と昇降舵のロックを解除し忘れたことが判明した。
初歩的で致命的なミスだ。
しかし、重要なのはその理由だ。
ヒル少佐は無数の新しい複雑な手順に気を取られて、ロック解除のことを忘れてしまったのだ。
人類がさまざまな分野で獲得した膨大な知識は、科学技術及び人文分野に驚異的な進歩をもたらした。
しかし、この進歩にも弊害はある。
知識の量と複雑さが増えすぎて、人の管理能力を超えてしまったのだ。
これこそが、悲劇的な事故が起こる理由である。
人には優れた記憶力がある。
ただし、必要に応じて呼び出すことのできる情報(ワーキングメモリ)の容量は、はるかに少ない。
頭のいい人がカギを忘れたり、優秀な医師が患者の膝の中から器具を取り出すのを忘れたりするのはそのためだ。
極端に複雑な作業をしていると、認知的負荷が課題になり、ミスを起こしやすくなる。
必要なのは知識を増やすことではなく、ワーキングメモリに負担をかけない新しいやり方を探すことだ。
外科医のアトゥール・ガワンデはチェックリストを使うことを強く推奨している。
実際にボーイング社はチェックリストを導入し、その後の試験飛行を無事故で乗り切った。
チェックリストの優れた点は、考える作業が事前に完了することだ。
思考の入る余地がない。
つまり、毎回正しく実行できるということだ。
記憶に頼らず、チェックリストを活用して作業のミスを防ごう。
♢ひとつの大きな決断が、その後の決断を不要にする
決断は疲れる。
好みも制約も優先順位もバラバラな人々を満足させる決断をすることは、疲れるだけでなく不可能に近い。
たとえば、家族旅行の行き先を決める過程で、ストレスを感じた経験はあなたにもあるはずだ。
みんなの意見がわかれる。
やりたいことが多すぎる。
スティーブンとアイリーン・リチャーズ夫婦は、これを楽にできないかと考えた。
重要なのは行き先がどこかというよりも、子どもたちと毎年交流できることだ。
そこで彼らは意思決定のプロセスを自動化するため、モンタナ州に小さなロッジを購入した。
そして、夏になると皆をロッジに招待して、好きな時間に好きなだけ旅行を楽しんでもらった。
これはリチャーズ一家の夏の定番行事になった。
5世代後の今も、家族は毎年集まって思い出をつくっている。
リチャーズ夫婦はたった一つの大きな決断で、その後の何世代にもわたる決断の負担を減らすことに成功した。
将来の決断を減らすような単一の決断を探そう。
♢重要なことはハイテク化、不要なことはローテク化
自動化とは、できるだけ人間の力を必要とせずに機能を実行することだ。
洗濯機や食器用洗浄機、冷蔵庫も一種の自動化だ。
日々当たり前に使っているが、故障したときにはじめて、どれほどの時間と労力を節約してくれたかを実感する。
日々の生活で、重要なことを自動化するにはどうしたらいいだろうか?
重要なことに時間を使うのは、理論的には簡単だが、実際には難しい。
趣味のために1時間使おうと思っても、さまざまな邪魔が入り予定通りにいかないこともある。
だが、日々の重要なタスクを自動化するために費やす努力は、のちに大きな利益を繰り返しもたらすはずだ。
ひとつ注意が必要なのは、自動化は自分の利益にもなれば、害悪にもなるということだ。
無駄な作業が自動化されていると、その無駄がずっとつづくことになってしまう。
重要なものはハイテクでエフォートレス化し、不要なものはローテクで手間がかかるようにしておこう。
結び
いかがでしたでしょうか?
毎晩、何を作って食べるのかをその日の夕方に決めるから大変なのです。
例えば、曜日で肉中心か魚中心かとざっくり決めていれば考えなくて済みます。
アップルの元CEO、スティーブ・ジョブズも
毎日同じ服を着ていたのは、考えなくてもいいからだそうです。
考えないって本当に楽です。
日常生活にもぜひ生かしてください!
他にもいろんな研究内容やエピソードが載っています。
ぜひ読んでください!
『エフォートレス思考』はこちらからどうぞ。