第11章 拒否 -断固として上手に断る-

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はじめに

人生の中で本当に大切なことに専念できていますか?

あなたは、日々さまざまな誘いや依頼に振り回されていませんか?

エッセンシャル思考には、そうした不要な要求を上手に「断る」技術があります。

この章では、的確に拒否することで、本当に大切な活動に集中できる生き方を手に入れる方法を解説します。

拒否は勇気がいりますが、豊かな人生を手に入れるための重要なスキルなのです。

文字数にして約2400文字です。
時間にして約6分で読むことができます。

第11章 拒否 -断固として上手に断る-

自分が「正しい」と思うことと、誰かが「やれ」と言うことが食い違った経験はないだろうか?

心の中で違うと思いながら、仕方なく行動したことは?

他人の顔色をうかがい、場を丸くおさめるためにイエスと言ったことは?

上司や同僚、友人、親戚、近所の人などの誘いを、断るのが怖くて引き受けていまったことは?

きっとあなたも思い当たることがあるはずだ。

他人からのプレッシャーに負けず、きっぱりと上手に断ることは、エッセンシャル思考の必須スキルである、と同時にもっとも難しいスキルでもある。

断るためには勇気が必要だ。そして、誰だって不安だ。

せっかくのチャンスを逃すのは怖いし、自分の立場がまずくなるのは困る。

尊敬する上司や仲間を失望させたくない。そう思うのは自然であり、何も悪い事ではない。

だが、そういう気持ちに打ち克ってノーを言うことができなければ、それよりもはるかに大切なものを失うことになってしまう。

♢大切なことを知っていれば断ることができる

シンシアという女性の、印象深いエピソードを紹介する。

彼女が12歳だったころ、父親がサンフランシスコの出張へ連れ言ってくれた時のことだ。

彼女は、父親の仕事が終わったあとの「デート」を楽しみにしていた。

チャイナタウンで中華料理を食べて、お土産を買い、観光したあと映画を観る。

ホテルのルームサービスで生クリームたっぷりのホットファッジサンデーを頼み、気が済むまで深夜のテレビを堪能する。

ところが当日、講演会場を出ようとしたところ、父親の友人にばったりでくわしてしまった。

そして、夕食に誘われたのだ。

父親も乗り気だ。

楽しみにしていたデートも、これでおじゃんだ。

だが、父親は断った。

「今夜はダメなんだ。シンシアと特別なデートの約束をしているものでね。そうだろう?」

父親はシンシアにウインクし、そっと手をとって歩き出した。

シンシアは「この出来事のおかげで、父との間には永遠に切れない絆が生まれました。」と語ってくれた。

ちなみにシンシアの父親は『7つの習慣』で有名な、スティーブン・コヴィーだ。

娘を優先するのは当然だ、と思う人もいるかもしれない。だが、同じ立場に置かれたとき、娘を優先できる人はどれだけいるだろう。

急に決断を迫られたとき、その場で正しく本質を選ぶためには

「自分にとって本当に重要なのはこれだ」という確信を持っている必要がある。

スティーブン・コヴィーも、何が本当に重要なのかを知っていたから、それ以外のことに「ノー」と言えたのだ。

♢上手に「ノー」と言う技術を身につける

急な決断が難しい理由はもうひとつある。

他人にどう思われているか、という不安だ。

非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまう。よく考えもせず、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受ける。

一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分の良さが長続きしないことを知っている。

絶対にやるべきこと、以外のすべてに対して、上手にノーと言うことが肝心だと心得ている。

では、どうすれば上手に断ることができるのだろうか。

ここからは、6つのコツを紹介していく。

①判断を関係性から切り離す

断ることが、相手を拒絶することだと感じてしまう。まずはこの2つを分けて考えなくてはならない。

②直接的でない表現を使う

「行きたいのは山々ですが、時間があるかどうか…」

とやんわり断る。

③トレードオフに目を向ける

ここでイエスと言ったら、自分は何を失うのだろう?を考える。

④誰もが何かを売り込んでいる

人はみな、何かを売り込もうとしている。

相手が何を売り込もうとしているのか、自分はそれによって何を失うのかを考える。

⑤好印象よりも敬意を手に入れる

なぜなら「自分の時間を安売りしない」というメッセージになるからだ。

結果的に、短期的な気まずさと引き換えに、相手の敬意を手に入れることができる。

⑥あいまいなイエスはただの迷惑

あいまいにして結局断るくらいなら、その場ですぐに断ったほうが相手へのダメージもずっと少なくて済む。

♢断り方のレパートリーを増やす

エッセンシャル思考の生き方は、ノーを言い続ける生活だ。だから、上手な断り方を何種類も身につけておいたほうがいい。

ここでは、8つの上手な断り方の例を紹介する。

①とりあえず黙る

誰かに何かを頼まれたら、ゆっくり3つ数えてから自分の意見を言ってみよう。

②代替案を出す

代替案を出して、相手に寄り添いながら断ろう。

たとえば、メールでお茶に誘われたとき著者はこう断った。

「今は本の執筆で手一杯なんです。でも、書き終わったらぜひご一緒させてください。夏の終わりごろでどうでしょう?」

③予定を確認して折り返します

頼まれた仕事をすぐに引き受けず、「予定を確認して折り返します」といって、時間をおこう。時間をおいて考えると、断ることが容易になる。

④自動返信メール

休暇中に限らず、普段から返信が遅れる旨の自動返信メールを活用してみよう。

⑤どの仕事を後回しにしますか?

上司からの仕事の依頼は断りにくい。ノーと言いにくければ、トレードオフを意識させてみよう。

「この仕事を優先してやります。では、今抱えている仕事のうち、どれを後回しにしましょうか?」と聞いてみよう。

⑥冗談めかして断る

親しい間柄なら、冗談めかして断ってしまおう。

⑦肯定を使って否定する

喜んで引き受けるふりをして、実は断るという高度なテクニック。

たとえば、「どうぞ私の車を使ってください。ここにキーを置いておきますね」これは親切な言葉を使いながら、運転は引き受けないという意思をはっきり表明している。

⑧別の人を紹介する

「私は無理ですけど、彼は興味を示すんじゃないかな」と言って、別な人に回してしまおう。自分を見込んで…と思いたいところだが、実際は誰がやってもいい場合がほとんどだ。

結び

いかがでしたか?

エッセンシャル思考では、自分の人生の本質的な目標に反するものは、全て拒否する勇気が求められることがわかりました。

もちろん、人間関係を損ねたくないという気持ちは誰にでもあります。

しかし、そのために本当に大切なことを犠牲にしてしまっては元も子もありません。

今こそ、明確な基準を持ち、上手な断り方を身につけましょう。

ノーと言えるようになれば、あなたの人生は確実に、本当に実りあるものへと変わっていくはずです。

新しい自分を手に入れる第一歩を、今踏み出してみませんか?

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