はじめに
忙しすぎて疲れ果てていませんか?
ストレスで気持ちの余裕がなくなっていませんか?
そんなあなたに、エッセンシャル思考からの助言があります。
それは「睡眠」を大切にすることです。
睡眠不足は創造性や生産性を低下させてしまいます。
十分な睡眠をとることで、あなたの最大の武器である「頭の働き」を最大限に活かすことができるのです。
この章では、睡眠がなぜ重要なのか、そしてどう実践すべきかについてご紹介します。
エッセンシャルな毎日を手に入れる秘訣が、ここにあります。
この記事の文字数は約1500文字。
時間にして約4分で読むことができます。
第8章 睡眠
-1時間の眠りが数時間分の成果を生む-
ジェフはバイタリティ溢れるビジネスマンだった。
彼は、世界中を飛び回る生活。本社はシアトルだが、サンフランシスコとインドとケニアにも支社がある。
いつもの打ち合わせでロンドンに飛び、それからインドに飛んで6日間で5都市をまわり、ジュネーブで投資家との会談に出席し、シアトルに戻って1日半過ごす。
そのため、慢性的な睡眠不足だった。
ところが、多忙を極めて体がおかしくなっていった。
内臓が一つひとつ壊れていき、心拍は不規則になり、立っているだけで苦痛を感じた。血圧は低すぎてすぐに立ちくらみがした。
医者は彼に一生薬に頼って暮らすか、数年のあいだ仕事を離れて静養するかの選択を迫った。彼はストレスのもとをすべて取り除く決断をした。すべての仕事をキャンセルし、自分の会社も辞めた。
健全な生活のおかげで、体は回復した。彼は今回の経験から学ぶべき教訓を得た。
「自分の資産を守ること」だ。
♢自分自身という資産を守る
私たちの最大の資産は、自分自身だ。
なぜなら、自分への投資を怠り、心と体をないがしろにすると、価値を生み出すための元手がなくなってしまう。自分という資産を守らなければ、世の中の為に働くこともできない。ところが、現実には優秀な人たちが自分を壊している。
その最大の原因は、睡眠不足である。
前述のジェフは療養生活のなかで、自分の生き方を見つめ直した。そして気づいたのは、働きすぎることはあまりにも簡単だという事実だ。本当に難しいのは働きすぎないように制御することだ。
彼は自分と同じハードワーカーたちに、こう語りかける。
「自分の能力に自信があるなら、ひとつ大きな難題に挑戦してみてください。目の前のチャンスをきっぱりと断り、昼寝をするんです」
非エッセンシャル思考の人は、睡眠を一種の義務のように考えている。ただでさえ忙しい中で、さらに時間を食いつぶす足手まといだと思っている。
一方でエッセンシャル思考の人は、睡眠を武器だと考えて自分の力を引き出すために活用している。計画的に十分な睡眠をとることで、仕事の質を最大限に高めている。
♢十分な睡眠が脳の機能を高める
なぜ人は貴重な睡眠をすぐに削ろうとするのだろうか?
睡眠を削ればもっと働ける、と考えているからかもしれない。
しかし、数々の証拠がそれとは逆を示している。
ここでは、心理学者のK・アンダース・エリクソンがおこなった調査を紹介する。彼は、一流のバイオリニストは普通の生徒よりも練習時間が格段に多いという事実を明らかにした。
実は、この調査ではもうひとつの重要な事実が明らかになっている。その事実とは、「一流のバイオリニストはよく眠る」という事実だ。
どれくらい眠るかというと、1日平均8.6時間の睡眠をとっている。これはアメリカの平均よりも1時間長い数字だ。
さらに、彼らは週に平均で2.8時間の昼寝をしている。これはアメリカの平均よりも2時間長い。
たっぷり休養することで、1時間あたりの練習効果を最大限に高めているのだ。
まとまった睡眠がとれない人は、昼寝をするだけでもいい。
アメリカ科学アカデミー紀要のレポートによると、レム睡眠が1度でもあれば、脳はバラバラの情報を統合することができる。
つまり、短時間の眠りでも、世界をより深く洞察できるようになる。
現代人の最優先課題は、優先順位づけの能力をキープすることだ。
睡眠不足で困るのは、多くの選択肢のなかから、本当に重要なことを見極める能力が落ちて、優先順位がつけられなくなることだ。
たっぷり眠れば、洞察力が高まり、発想が広がり、より少ない時間でより良い成果を上げることができる。
結び
いかがでしたか?
睡眠は創造性を高め、優先順位をつける力を維持するために欠かせないことがわかりましたね。
十分な睡眠があれば、最小限の努力で最大の成果を上げられます。
でも現代人は慢性的な睡眠不足に陥りがちです。
そこであなたにお願いがあります。
今日から意識的に睡眠を大切にする習慣を始めてみませんか?
毎日の睡眠時間をこれまでより、1時間延ばすだけでも大きな変化があるかもしれません。
エネルギッシュで創造的な日々を手に入れる近道は、しっかりと眠ることなのです。
ぜひ実践を始めて、睡眠の力を体感してみてください。