第6章 洞察-情報の本質をつかみとる-

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目次

はじめに

現代社会は情報過多な環境にあり、本質を見失いがちです。

しかし、エッセンシャル思考には物事の本質を掴む技術があります。

この章では、忙しいあなたに、雑多な情報の中から核心を捉える「洞察力」を身につける方法を紹介します。

日々の生活でもビジネスでも、本質を見極める力は欠かせません。

エッセンシャル思考で、あなたの人生を本質的なものに変えていきましょう。

この記事は文字数にして約2000字です。
時間にして約4分で読むことができます。

第6章 洞察
-情報の本質をつかみとる-

『めぐり逢えたら』や『恋人たちの予感』で知られる脚本家、ノーラ・エフロン。彼女が脚本家として大成功したのは、物語の本質をつかむ力があったからだ。この力の大切さは、特に高校時代の授業がきっかけで気づいたものだ。

ビバリーヒルズ高校でジャーナリズム入門を教えていたのは、チャーリー・O・シムズという先生だった。シムズは生徒たちに話の要約を書くという課題を与え、次のようなストーリーを読み上げた。

「ビバリーヒルズ高校のピーターズ校長は今朝、職員一同に研修旅行の知らせを告げた。来週木曜日、職員全員でサクラメントへ行き、新たな教育メソッドに関する会議に参加する。当日は人類学者のマーガレット・ミードや教育学者のロバート・M・ハッチンズ、カリフォルニア州知事のパット・ブラウンによる講演も予定されている」

生徒たちはいっせいに要約を書き始めたが、正しく要約できた生徒は一人もいない。

正しい要約は「来週木曜は学校が休みだ」。
それを聞いたエフロンはジャーナリズムの本質を理解した。

話しを聞いていて、ポイントを見失うことはないだろうか?
情報量に圧倒されて、なにをどうすればいいかわからなくなることは?
依頼が次々と積み上がり、何からやろうかと途方に暮れることは?

あなたにひとつでも思い当たることがあるなら、エッセンシャル思考のスキルが役に立つ。

♢大局を見る

1972年12月29日、飛行機がフロリダ州の国立公園に墜落し、100名以上の死者を出した。のちの調査で、機体には何の問題もなかったことが判明した。

では、なぜ墜落したのか?

飛行機が着陸態勢に入ったとき、前脚が降りたことを示すランプが球切れで点灯しなかった。操縦士らはランプを直そうと気をとられるあまり、自動操縦が解除されていないことに気付かなかった。機体は高度を下げ、そのまま墜落した。

つまり、墜落の原因は人間の注意不足だった。

目の前の小さなトラブルに気を取られていたせいで大きな問題を見逃し、取り返しのつかない悲劇が起こった。

ささいなことに気を取られすぎると、大局を見失う。
これは仕事や生き方でも同じことが言える。

♢情報をフィルタリングする

日々出会う情報は膨大で、すべてを調べることはできない。
だから、吟味する情報を見分けるためには、情報や選択肢をフィルタリングする仕組みが必要だ。

非エッセンシャル思考の人は、耳を傾けてはいるけれど、いつも何かを言う準備をしている。声の大きい意見は聞こえるが、その意味を取り違える。自分がコメントばかりすることばかり考えていて、話の本質をつかめない。

エッセンシャル思考の人は、目と耳がいい。すべてに注意を向けることが不可能だと知っているので、話の空白を聞き、行間を読む。

映画『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニーはそれをこう言い表している。
「私ってすごく論理的なのよ。だから無関係な細部に気をとられないで、皆が見過ごすものを見抜けるの」

♢ジャーナリストの目を手に入れる

現代の職場は常に混乱状態だ。そんな環境だからこそ、本質を掴み取らなくてはならない。

ここでは、本質を掴み取るための方法を紹介する。

1.日記をつける
ジャーナリストという言葉は、ジャーナル(日記)が語源。

ジャーナリストのもともとの意味は「日々の記録をつける人」である。
つまり、まずは日記をつけてみるといい。

2.現場を見る
現場を見ることで問題の本質を知り、解決策を生み出した例を紹介する。
スタンドフォード大学dスクールの学生だったジェーン・チェンは「低価格デザインを考える」という授業に参加していた。テーマは保育器。

発展途上国へむけて、価格を下げられないかという課題だ。しかし、ただ単に安くするだけでいいのだろうか?

チェンとクラスメイトたちは、問題の本質を知るために発展途上国へ行った。

現地を取材して分かったのは新生児の8割が自宅で生まれているという事実。

また、電気が通っていないことが多く、従来の保育器があっても使えない。

つまり本当の課題は、従来の保育器を安くすることではなく、電気を使わない保育器を開発すること。

ジェーンたちは実際に現場を見たことで、電気を使わず、安価な保育器を開発することができた。

3.普通を知り、逸脱を探す
レバノン出身の実力派ジャーナリスト、マリアム・セマーン。
彼女は、「知識をつけること」と「別の視点で見る」が本質を掴むコツだという。

彼女は1つの出来事を関係者一人ひとりの立場を想像し、あらゆる側面から見ている。

そうすることで、より深い動機や説明が見えてくる。

4.問題を明確にする
会議中に議題と関係ない話しがあがり、時間がとられてしまう。成果を感じない会議だったという経験はないだろうか。

本質を考え、何を解決しなければならないのか、そのために何をしなければいけないのか。

そのためには、質問を明確にすることが不可欠である。

結び

この章で学んだように、洞察力を身につけるには、日記をつけること、現場を見ること、常識を疑うこと、問題を明確化することが大切です。

一見面倒に思えるかもしれませんが、これらの習慣を身につければ、あなたも確実に物事の本質を見抜く力を手に入れられます。

情報が溢れる現代こそ、エッセンシャル思考による「本質探究」が不可欠なのです。

今日からでも実践を始めて、あなたの人生を本質的なものに変容させてみませんか?

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