第4章 トレードオフ -何かを選ぶことは、何かを捨てること-

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はじめに

現代社会において、私たちはしばしば様々な選択を迫られます。

一方を選ぶと、他方を犠牲にしなければならない状況、それがトレードオフの本質です。

この記事では、成功企業であるサウスウエスト航空の戦略を例に、
トレードオフをうまく活用することの重要性を説明します。

第4章 トレードオフ
-何かを選ぶことは、何かを捨てること-

トレードオフとは、何かを達成するために何かを犠牲にしなければならない関係のこと。

トレードオフの好例として、サウスウエスト航空のビジネス戦略を説明している。

創業者のハーバート・ケレハーはトレードオフを意識してビジネス戦略を決めていた。

サウスウエスト航空は格安航空会社。

大手航空会社がハブ空港を拠点に路線を拡大するなかで、サウスウエスト航空は2都市間を単純につなぐ路線にこだわった。さらに、機内食を出さず、座席指定の廃止し、単純に乗り物として利用してもらうことにした。

金のかかるオプションは、この会社の本質から外れている。

ケレハーは明確なビジョンを持ち、不要なものを切り捨てた。

その結果、サウスウエスト航空は大きな利益を上げることとなる。

♢トレードオフを無視することの代償

トレードオフを無視すると、取り返しのつかない損失が待っている。
前述の通り、サウスウエスト航空が成功すると、他の航空会社もやり方を真似し始めた。といっても中途半端に片足を突っ込む形で、だ。

その競合企業のひとつが、コンチネンタル航空(現在はユナイテッド航空に併合)。コンチネンタル航空はサウスウエスト航空を見習い、2都市間を単純につなぐ路線のサービス「コンチネンタル・ライト」を開始した。

しかし、ハブ空港を拠点とする従来の通常路線も並行しておこなっていたため、思っていたほどコストが削減できなかった。コンチネンタル航空のサービスは低下していき、損失は数億ドルにも及んだ。

なぜ、こんな失敗をしてしまったのか。

それは2つの相容れない戦略を両立させようとしたからだった。

全てを同時にできると思ったら大きな間違いだ。
何かに「イエス」と言うことは、その他すべてに「ノー」と言うこと。

トレードオフから目をそむけても、
トレードオフから逃れることはできない。

♢人はどれかを選ばなくてはならない

著者があるとき相談を受けた会社は、優先順位が決められずに困っていた。
翌年度に実行するプロジェクトを決めたいが何を選んでいいかわからない。
最優先プロジェクトは18個。著者は5個に絞ってくださいと提案するが、それでも最優先は17個だった。

プロジェクトを管理していたマネージャーはトレードオフを受け入れられなかった。5つのプロジェクトしかできない時間と人員で17個のプロジェクトを強行することにした。

結果は当然、失敗だった。

トレードオフが起こるのは、どちらも捨てがたい状況。
しかし、どちらも取るのは不可能だ。

非エッセンシャル思考の人は「どうすれば両方できるか」を考える。

エッセンシャル思考の人は、「どの問題を引き受けるか」を考える。
さらに、自らトレードオフを選びとる。誰かに決められる前に自分で決める。

エッセンシャル思考の人は、「何を諦めなくてはならないか?」と問うかわりに、
「何に全力を注ごうか?」と考える。

結び

トレードオフは避けられないものです。

しかし、エッセンシャル思考を持つことで、自らの意思でトレードオフを選択し、限られたリソースを最も重要なものに注ぐことができます。

人生においても、仕事においても、本当に大切なものは何かをあらためて考え直してみましょう。

そして、そこに全力を注ぐことで、成功への確かな一歩を踏み出せるはずです。

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