はじめに
[概要]
エッセンシャル思考(著者:グレッグ・マキューン、かんき出版)
の要約です。
本書はPART1~4で構成されています。
この記事ではPART3の部分を要約しています。
内容は全て本書から引用しています。
[分量]
ページ数にして65ページ分。
1ページ約1分とすると、約1時間5分で読む分量です。それを約15分で読めるように凝縮しました。
ちなみに、妻は16分で読みました。
この本は、こんな人におすすめです。
・少ない成果でより良い成果を出したい人
・仕事を断るのが苦手な人
・働きすぎて疲れているなと感じている人
前回のPART2はこちらからどうぞ。
PART3 捨てる技術
多数の瑣末なことを容赦なく切り捨てる
PART 3では、本当に重要なことをやりとげるために、不要な物事を「捨てる」技術を紹介する。
うまく捨てる技術があれば、同僚や上司や顧客の反感を買うどころか、むしろ賞賛されるようになるはずだ。
しかし、捨てるというのは非常に難しい。実際にクローゼットのなかにある古い洋服を簡単には捨てられない。
心理学の研究によると、人は自分が所有しているものを実際よりも高く評価しがちである。
だが、目の前に転がり込んできたチャンスに「ノー」と言うことができなければ、ただ成り行きに流されるだけで終わってしまう。
捨てるべきものを問うとき、自分の優先事項がはっきり見えてくる。
自分の本当の使命が明らかになり、個人だけでなく組織全体のために最高の仕事ができるようになる。
仕事や人生の決定打となる突破点は、不要なものを切り捨てることからだ。
第10章 目標
-最終形を明確にする-
ここからの章では、重要なことにエネルギーを集中させるため、不要なものを切り捨てる技術について説明していく。
まず最初に切り捨てるべきは、やろうとしている意図にそぐわない行動だ。
単純なようだが、これを実現するためには、自分がどんな目的に向かっているかをとことん明確に定義しなければならない。
さて、あなたの目的は本当に明確だろうか。
♢「かなり明確」を「完全に明確」にする
目的が明確ではないとき、人はどうでもいいことに時間とエネルギーを浪費する。その弊害は大きく2つのパターンとして表れる。
パターン1 社内政治が蔓延する
上司の気を引くために社内政治が蔓延する。
これは、仕事のゴールが見えず、どうすれば勝てるのかわからなくなるので、「上司の歓心を買う」という不毛な行動に走る。
その結果、仕事に注ぐはずの時間とエネルギーは表面的な自己演出やご機嫌とりに費やされる。
不要なだけでなく、生産性を著しく下げる行為なのでもはや有害だ。
パターン2 なんでも屋になる
リーダーの求心力がなくなり、各自がバラバラに動き出してしまう。
とはいえ、個人レベルでは重要な仕事をしているかもしれない。
しかしながら、各自が別々の方向に進んでいたら、チーム全体としてどこにもたどり着けない。
同じことは仕事以外にもあてはまる。多くの事に手を出すと、努力の方向性がバラバラで、本質的なゴールにはたどり着くことはできない。
エネルギーが同じ方向に向かえば相乗効果が生まれる。よって、全体の目的と個々の役割がとことん明確になっていれば、チームは大きな力を発揮できる。
♢本質目標を決める
本質目標とは、具体的で魅力的で測定可能な目標のことだ。
では、どうやって本質目標を決めればよいのだろう?
大切なことは、まず言葉にとらわれないこと。
次に達成をどう判定するかということだ。
言葉にとらわれないようにするために
「たったひとつのことしかできないとしたら、何をするか?」
という本質的な問いを立てて考えてみよう。
中身が大事といっても、まったく人の心を動かさない言葉では意味がない。そこで、「達成をどう判定するか?」という質問に答えられるほど具体的でわかりやすい言い方を選んだ方がいい。
2005年の夏、ハリケーン・カトリーナがアメリカのニューオーリンズ州を襲った。復興の遅さに苛立ち、自ら財団を設立し支援をした俳優がいた。
ブラッド・ピットだ。
この時にブラッド・ピットが立てた目標は、
「ニューオーリンズの下9地区に住む世帯のために、低価格で環境にやさしく、災害に強い家を150戸建設する。」
具体的でリアルな目標だ。だからこそ、人の心が動く。
♢本質を見据えて生きる
本質目標は、仕事や会社だけのものではない。
正しく使えば、人生に意味を与え、正しい方向へと導いてくれる。
人生の本質目標を決めるのは、容易ではない。勇気と洞察力を持ち、自分の力を最高に発揮できる行動を見定めなくてはならない。
そのためには、 タフな問いに答えることが必要だ。トレードオフを直視し、本質から外れたものごとを断固として切り捨てなければならない。
第11章 拒否
-断固として上手に断る-
自分が「正しい」と思うことと、誰かが「やれ」と言うことが食い違った経験はないだろうか?
心の中で違うと思いながら、仕方なく行動したことは?
他人の顔色をうかがい、場を丸くおさめるためにイエスと言ったことは?
上司や同僚、友人、親戚、近所の人などの誘いを、断るのが怖くて引き受けていまったことは?
きっとあなたも思い当たることがあるはずだ。
他人からのプレッシャーに負けず、きっぱりと上手に断ることは、エッセンシャル思考の必須スキルである、と同時にもっとも難しいスキルでもある。
断るためには勇気が必要だ。そして、誰だって不安だ。
せっかくのチャンスを逃すのは怖いし、自分の立場がまずくなるのは困る。
尊敬する上司や仲間を失望させたくない。そう思うのは自然であり、何も悪い事ではない。
だが、そういう気持ちに打ち克ってノーを言うことができなければ、それよりもはるかに大切なものを失うことになってしまう。
♢大切なことを知っていれば断ることができる
シンシアという女性の、印象深いエピソードを紹介する。
彼女が12歳だったころ、父親がサンフランシスコの出張へ連れ言ってくれた時のことだ。
彼女は、父親の仕事が終わったあとの「デート」を楽しみにしていた。
チャイナタウンで中華料理を食べて、お土産を買い、観光したあと映画を観る。
ホテルのルームサービスで生クリームたっぷりのホットファッジサンデーを頼み、気が済むまで深夜のテレビを堪能する。
ところが当日、講演会場を出ようとしたところ、父親の友人にばったりでくわしてしまった。そして、夕食に誘われたのだ。
父親も乗り気だ。
楽しみにしていたデートも、これでおじゃんだ。
だが、父親は断った。
「今夜はダメなんだ。シンシアと特別なデートの約束をしているものでね。そうだろう?」
父親はシンシアにウインクし、そっと手をとって歩き出した。
シンシアは「この出来事のおかげで、父との間には永遠に切れない絆が生まれました。」と語ってくれた。
ちなみにシンシアの父親は『7つの習慣』で有名な、スティーブン・コヴィーだ。
娘を優先するのは当然だ、と思う人もいるかもしれない。だが、同じ立場に置かれたとき、娘を優先できる人はどれだけいるだろう。
急に決断を迫られたとき、その場で正しく本質を選ぶためには
「自分にとって本当に重要なのはこれだ」という確信を持っている必要がある。
スティーブン・コヴィーも、何が本当に重要なのかを知っていたから、それ以外のことに「ノー」と言えたのだ。
♢上手に「ノー」と言う技術を身につける
急な決断が難しい理由はもうひとつある。
他人にどう思われているか、という不安だ。
非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまう。よく考えもせず、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受ける。
一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分の良さが長続きしないことを知っている。
絶対にやるべきこと、以外のすべてに対して、上手にノーと言うことが肝心だと心得ている。
では、どうすれば上手に断ることができるのだろうか。
ここからは、6つのコツを紹介していく。
①判断を関係性から切り離す
断ることが、相手を拒絶することだと感じてしまう。まずはこの2つを分けて考えなくてはならない。
②直接的でない表現を使う
「行きたいのは山々ですが、時間があるかどうか…」
とやんわり断る。
③トレードオフに目を向ける
ここでイエスと言ったら、自分は何を失うのだろう?を考える。
④誰もが何かを売り込んでいる
人はみな、何かを売り込もうとしている。
相手が何を売り込もうとしているのか、自分はそれによって何を失うのかを考える。
⑤好印象よりも敬意を手に入れる
なぜなら「自分の時間を安売りしない」というメッセージになるからだ。
結果的に、短期的な気まずさと引き換えに、相手の敬意を手に入れることができる。
⑥あいまいなイエスはただの迷惑
あいまいにして結局断るくらいなら、その場ですぐに断ったほうが相手へのダメージもずっと少なくて済む。
♢断り方のレパートリーを増やす
エッセンシャル思考の生き方は、ノーを言い続ける生活だ。だから、上手な断り方を何種類も身につけておいたほうがいい。
ここでは、8つの上手な断り方の例を紹介する。
①とりあえず黙る
誰かに何かを頼まれたら、ゆっくり3つ数えてから自分の意見を言ってみよう。
②代替案を出す
代替案を出して、相手に寄り添いながら断ろう。
たとえば、メールでお茶に誘われたとき著者はこう断った。
「今は本の執筆で手一杯なんです。でも、書き終わったらぜひご一緒させてください。夏の終わりごろでどうでしょう?」
③予定を確認して折り返します
頼まれた仕事をすぐに引き受けず、「予定を確認して折り返します」といって、時間をおこう。時間をおいて考えると、断ることが容易になる。
④自動返信メール
休暇中に限らず、普段から返信が遅れる旨の自動返信メールを活用してみよう。
⑤どの仕事を後回しにしますか?
上司からの仕事の依頼は断りにくい。ノーと言いにくければ、トレードオフを意識させてみよう。
「この仕事を優先してやります。では、今抱えている仕事のうち、どれを後回しにしましょうか?」と聞いてみよう。
⑥冗談めかして断る
親しい間柄なら、冗談めかして断ってしまおう。
⑦肯定を使って否定する
喜んで引き受けるふりをして、実は断るという高度なテクニック。
たとえば、「どうぞ私の車を使ってください。ここにキーを置いておきますね」これは親切な言葉を使いながら、運転は引き受けないという意思をはっきり表明している。
⑧別の人を紹介する
「私は無理ですけど、彼は興味を示すんじゃないかな」と言って、別な人に回してしまおう。自分を見込んで…と思いたいところだが、実際は誰がやってもいい場合がほとんどだ。
第12章 キャンセル
-過去の損失を切り捨てる-
あなたには「後に引けなくなった」経験はないだろうか?
チケットを買ってしまったという理由だけで、つまらない映画を最後まで見続ける。
いったんバスを待ちはじめると、タクシーを捕まえるのが悔しくて、いつまでもバスを待ち続ける。
別れた方がいいとわかっているのに、うまくいかない相手との関係を切ることができない。
なぜこのようなことが起こるのか?
理由のひとつは「サンクコストバイアス」である。
サンクコストとは埋没費用と意味。既にお金や時間を支払ってしまったお金や時間のことを言う。
つまり、サンクコストバイアスとは、既になんらかのコストを支払ってしまったという理由だけで、損な取引をつづける心理的傾向のことだ。
非エッセンシャル思考の人は、損切ができず、いつまでも駄目な投資を続ける。
エッセンシャル思考の人は、過ちを認めて駄目な行動を切り捨てる。
♢途中でやめることはなぜ難しいのか
いったん所有してしまうと失うのが怖くなる「授かり効果」という心理的バイアスがある。
「授かり効果」は「所有」という概念が大きく影響している。
たとえば、何年も読んでいない本。箱に入ったままの食器。誰かにもらって一度も袖を通していない服。
なんの役に立つわけでもないのに、所有しているという理由だけで、失うのがもったいないと感じてしまう。
♢上手に手放すテクニックを身につける
「サンクコストバイアス」や「授かり効果」は品物だけではなく、行動にも当てはまる。
たとえば、自分がリーダーをつとめているプロジェクトは、利益が出ていなくても存続させたいと考えてしまう。
自分が主導している企画からは、なかなか手を引きたくない。
そんなときに、上手に手放すためのヒントを紹介する。
・持っていないふりをする
心理学者のトム・スタッフォードは、授かり効果に対する強力な対抗策を紹介している。
「どれくらいの価値があるか?」と考えるかわりに、「まだ、これを手にしていなかったら、手に入れるのにいくら払うか?」と考える。
仕事やその他の活動でも同じテクニックが使える。
たとえば、思わぬチャンスが舞い込んできたとき、「このチャンスを逃したらどう感じるか?」と考えるかわりに、「もし、まだこのチャンスが手に入っていなかったら、手に入れるためにどれだけのコストを払うか?」と考えてみよう。
・「もったいない」を克服する
オハイオ州大学教授のハル・アークスは、「なぜ、子どもよりも大人のほうが、サンクコストバイアスにとらわれやすいのだろう」と考えていた。
アークスはその答えが、「もったいない」と言われつづけたことにあるこという結論に達した。
無駄は悪だという考え方が染みついているから、すでに使ったお金や時間を捨てることができないのだ。
・失敗を認め、成功に向かう
自分の失敗を認めたとき、初めて失敗は過去のものになる。失敗した事実を否定する人は、けっしてそこから抜け出せない。
失敗を認めることは恥ずかしいことではない。失敗を認めるということは、自分が以前よりも賢くなったことを意味するのだから。
・靴に足を合わせる心理
周りの要求に応えようとして、自分ではない誰かになろうとしていないだろうか?
自分には合わないとわかっているのにどうしても認めたくない。
そんな時は、第三者の意見を聞いてみるといい。
何の利害もない立場からのアドバイスは、執着を断ち切るのに役に立つはずだ。
・現状維持バイアス
「現状維持バイアス」とは、いつもやっているからという理由でそれをやめられない心理傾向のことをいう。
当たり前のようにそこにあるものを、人は無条件に受け入れがちだ。
このバイアスから自由になるためにどうすればよいのだろうか?
・ゼロベースで考える
現状維持バイアスから自由になるために、ゼロベースで考えるというテクニックがある。
たとえば、今の時間の使い方をいったん忘れて、何も予定が無い状態にする。そして、今日やるべきことをゼロから考えてみる。
これはお金の使い方や人間関係などのあらゆることに応用できる。
まっさらな状態から、時間やお金やエネルギーの使い方をあらためて考えてみよう。
ただ惰性でつづけていることは、すぐにやめるべきだ。
・流れで引き受けるのをやめる
非エッセンシャル思考の人の日常は、なんとなく引き受けてしまった約束であふれている。
たとえば、同僚と話していたら、プロジェクトに参加することになってしまった。
友人と食べ物の話をしていたら、新しいレストランに行くことになってしまった。
これを防ぐためには、何かを言う前に5秒待つといい。
「これは重要か?」と考えてみよう。
・これをやめたら損をする?
たいていの人は、損をするのが大嫌いだ。だから「これをやめたら、何か大きなものを逃すのではないか?」という不安でどうでもいいことをやりつづけてしまう。
その不安を克服するため、「逆プロトタイプ」という考え方を紹介する。
「逆プロトタイプ」とは、今やっていることを試験的にやめてみて、不都合があるかどうか確かめてみるのだ。
じつは、周りの為に苦労してやっていたことが、なんの意味もなかったということがあるかもしれない。
以上、これらのテクニックを使っても、何かをやめることは簡単ではない。
しかし、さまざまな心理的バイアスにとらわれず、きっぱりと「やめる」スキルを身につければ、人生はもっとシンプルになる。
第13章 編集
-余剰を削り、本質を取り出す-
アカデミー賞の歴史のなかでもっとも尊敬されている編集技師にマイケル・カーンという人物がいる。
アカデミー編集賞に8回ノミネートされ、受賞数は3回にのぼる。
カーンが編集した映画は『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』、『プライベート・ライアン』、『シンドラーのリスト』など、数々の超有名作品だ。
編集はエッセンシャル思考の技術である。
不要なものを容赦なく削り、作品の本質を取り出す仕事だ。
すぐれた編集技師は、重要なものがいやでも目に入ってくるようにする。
余分なものを排して、見るべき要素だけを観客に提示するのだ。
PART2の第6章で、すぐれたジャーナリストは部分の集まりから全体像をつくるという話をした。意味のある全体像ができあがったら、次は余分なものを全て切り捨てることだ。
すぐれた編集技師になって、自分の仕事や生き方を完璧に編集しよう。
♢編集の4原則を知る
もちろん、仕事や生き方を編集するのは難しい。
それでも、編集の4つの原則を知っておけば、人生は今よりずっとクリアになる。
1.削除する
編集の基本は、あいまいでわかりにくい要素を排除し、観客や読者の混乱を防ぐことだ。
何かを決めるとき、選択肢を増やした方が安心だと考える人は多い。だが、実を言うと決断の本質は選択肢を減らすことにある。
2.凝縮する
すぐれた編集者は、言葉を減らすことにこだわり抜く。この2文を1文にまとめられないか。2語のところを1語にできないかなどだ。
言葉を凝縮するとは、言いたいことを最大限かつ簡潔にすることだ。
そして、人生を凝縮するということは、結果に対する行動の比率を減らすということ。いくつもの無意味な行動をやめて、重要な行動ひとつに置き換えればいい。
3.修正する
編集の仕事は、削除と凝縮だけではない。間違いを直すのも大事な役目だ。
仕事や生き方でも、自分の本質的な目標を明確にしておけば、それに合わせて行動を修正できる。
もしも間違った方向に進んでいたら、正しく編集し直せばいい。
4.抑制する
すぐれた編集者は、作品に手を入れすぎない。
何でも手術するのが名医というわけではないのと同じで、すぐれた編集者は自分を抑制し、必要なときにしか手を出さない。
まずは立ち止まって様子を見る。すると全体の流れがクリアになる。
「より少なく」というエッセンシャル思考のやり方は、すぐれた編集術でもある。
非エッセンシャル思考の人は、やたらと何にでも手を出して、いざとなったら編集しようとする。
エッセンシャル思考の人で生きるということは、削除と凝縮と修正を、日々の習慣にすることだ。
第14章 線引き
-境界を決めると自由になれる-
現代は、仕事とプライベートの線引きが難しい時代である。
通信手段が進化したおかげで、24時間連絡がつくのが当たり前になり、休日も対応を迫られることが珍しくなくなった。
仕事は一方的にプライベートを浸食しようとしている。
もしも月曜日の朝に子どもたちを連れて会社に遊びにきたら、おかしな気がするはずだ。それなのに土日に家や会社で仕事をすることは、自然な行動のように思われる。
休日だからといって仕事を断り続けることも難しい。最悪仕事を失うこともも考えられる。
だからといって、境界線を放棄してしまったら、人生でもっとも大事なものを選べなくなる。
自分で線を引かなければ、自分の領域は守れない。
非エッセンシャル思考の人は、境界線などなくしたほうが、仕事ができると思っている。しかし、それは思い上がりだ。あまり無理をしていると、忙しすぎてなにひとつまともに完成させられなくなってしまう。
一方、エッセンシャル思考の人は境界線を上手に利用する。
一線を引くことで自分の時間を守り、他人からの余計な干渉を防ぐ。
♢面倒くさい人たちと一線を画する
線引きが必要なのは仕事だけではない。友人や近所の人が、あなたの時間を奪っていくこともある。
ここでは、自分の領域を守るためのヒントを紹介する。
・他人の問題を横取りしない
他人の役に立つのは嬉しい事だが、本人が解決すべき問題を肩代わりするのは人助けではない。
その人は問題を解決しようとしなくなり、余計に問題から抜け出せなくなってしまう。
本人の解決すべき問題は、本人に解決させる。
それがあなたのためであり、相手のためでもある。
・境界線を引いて自由になる
交通量の多い道路に面した学校を想像してほしい。
初めのうちは危ないので校庭の片隅した使わせてもらえない。
だが、校庭の周りにフェンスが設置されると、子どもたちは校庭をめいっぱい使えるようになる。それまでよりもずっと大きい自由が手に入る。
同じように、私たちも自分の境界を定めなければ、他人の侵入を受けてどんどん居場所がなくなっていく。
・自分の境界線がどこかを知る
自分の境界線を知る方法は2つある。
まずは、いつも足を引っ張ってくる相手を思い出すこと。
どんな頼みをされたときに、さすがに断るしかないと思っただろうか考えてみよう。
2つめは、他人に侵害されてイラっとした出来事を挙げてみよう。
この2つが境界線を知るヒントだ。
・難しい相手とは契約を結ぶ
著者はあるプロジェクトで、仕事のやり方が正反対の同僚とペアを組んだことがある。周りの予想に反して、とても良好な関係を保っていた。
なぜか?
その秘訣は、仕事を始める前にやり方を明確にしたからだ。
自分が何を優先するか、何が妥協できて何ができないか、その線引きを宣言した。
私たちはお互いを侵害しないように契約を結んだ。
その結果、最後まで気持ちよく仕事をして素晴らしい成果をあげることができた。
これらのことは最初は難しいかもしれないが、練習すれば線を引くことはどんどん簡単になる。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
PART3はここまでです。
PART3では「捨てる技術」について書きました。
PART4は「しくみ化の技術」についてです。
日々の生活で、自動的にエッセンシャル思考を実現させるためには、どのように考えて、どのように行動すればいいのか。
習慣化のコツ、と言い換えても差支えないと思います。
PART4では習慣化やマインドフルネスなど、聞いたことがある言葉が多く出てきます。知っていても実行できていないという人は多いと思います。
この機会に重要性を認識して、日々の生活が「より良く」なるように活かしてください。