「行動科学ってなんですか?」
最近よく質問されるので、まとめてみようと思います。
簡単に言うと、
「人間の行動を科学的に証明する学問のこと」
です。
例えば心理学も行動科学です。
これだけだと、なんのことかわからないので、具体的な例を紹介します。
例1.習慣化
「人はなぜその行動をするのか」
行動科学といえば、習慣化です。
なぜなら、勉強習慣や運動習慣、さらには食事習慣、投資に至るまで、
行動科学の知見がたくさん盛り込まれているからです。
習慣化のモデルは、研究者によってさまざまですが、
ここでは代表的な、きっかけ→動作→報酬(気分が良くなる、やせるなど)を例にします。
人は、なにかきっかけが起こると、次の行動を自然と取ってしまう。
そして、それには報酬がともなうと、きっかけ→行動の習慣が強くなります。
この法則を使った例として、
ジャーナリストのチャールズ・デュヒッグは著書『習慣の力』(講談社)の中で紹介している例をあげます。
1900年代はじめ、アメリカ人のほとんどは歯を磨いていなかったそうです。
それを10年間で、ほとんどの人が歯を磨くようになりました。
いったいどうしたのでしょう?
広告業界のクロード・ホプキンスが行ったことを
行動モデルに照らし合わせてみましょう。
きっかけ:まずホプキンスは、歯の表面に「ぬめり」があるかを注目させた。
動作:次にぬめりがある場合は、歯磨き粉の『ペプソデント』を使って、歯を磨こうと宣伝した。
報酬:『ペプソデント』を使うことによって、ミント味のスース―した清涼感を感じることができるようにした。
ぬめりを感じたら、歯を磨く。
そして、清涼感を感じることで、その習慣が次第に強化されていく。
これが行動科学の知見に基づいた、習慣化の原理です。
例2.あなたは「買わされている」のかもしれない
面白い実験があります。
グーグルのカフェテラスで、目線の高さにあるペットボトル商品があります。
これを炭酸水から、水に変えたところ、水を選ぶ割合が47%上がったとのことです。
商品が並んでいる順番や高さにも、意味があるということです。
また、「利き手の法則」という心理現象もあります。
人は、利き手で物を取りやすいというものです。
落ちる物を取ろうとしたとき、利き手の方を出しませんか?
この現象を使ったのが、スーパーマーケットです。
スーパーマーケットを正面に見て、右手側に野菜コーナーがありませんか?
お客さんには、店内を半時計まわりに回ってほしいのです。
そうすることによって、野菜、魚、肉などが「右手側」にある状態で回ることになります。
買ってもらうには、まず手に取ってもらうことが大切です。
ですので、お客さんを半時計まわりに動くように店内を設計しているのです。
ちなみに、私の生活圏にあるスーパーマーケットは全てそうです。
結び
人間には本能的に「癖」を持っています。
その癖を知ることで、少しでも自分自身の行動を変えていきたい。
そんな思いで、行動科学の本を読み始めました。
スタンフォード大学には行動デザイン研究所という機関があるほど、
行動の原理を理解することは、世界的にも重要なものです。
所長のB・J・フォッグ氏曰く、
「行動を変えることが、人生を変えること」
です。
あなたも、人生を変えたいと思うなら、ぜひ行動科学を勉強することをオススメします。