第3章 RELEASE -解放- 頭の中の不用品を手放す

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目次

はじめに

この章では、頭の中にある不要な思考や感情の「荷物」を手放す方法について説明します。

ネガティブな考え方に捕らわれると、物事を冷静に見る目が曇り、生産性が低下してしまいます。

あなたは、限られた時間とエネルギーを最大限に活用するために、この「解放」の考え方を取り入れることで、心の余裕を持ち、仕事とプライベートの両立を実現できるでしょう。

第3章 RELEASE -解放-
頭の中の不用品を手放す

著者は、スターウォーズに出てくる敵の兵士、ストームトルーパーのコスチュームに身をつつみ、鏡の前に立っていた。

頭からつま先まで、リアルなストームトルーパーの装備に包まれつことは、6歳の頃からの夢だった。

それが30年という時をへて、ようやく叶った。

しかし、感じていたのは喜びではなく、「荷をおろした」という思いだった。

ストームトルーパーの装備は、いつかやるべき課題として脳のスペースをひそかに占有していた。

これを読んでいるあなたの頭の中にも、そんな余計なアイテムはないだろうか?

古くなった目標。こびりついて離れない考え。必要ないのに頭のリソースを消費している邪魔な物。

これらは、コンピュータのバックグラウンドで動作している不要なプログラムのようなものだ。

脳の働きを邪魔し、処理を遅くする。

脳のスペースを空けて、本来の動きを取り戻すために、不要な荷物を捨てよう。

この章では、頭の中にある不用品を手放す考え方や方法を紹介する。

♢不足思考から充足思考へ

不運な出来事が起こったとき、どうしても不満や怒りが湧いてくる。

不平不満を言うのは簡単だ。

ところで、不平不満を口にするうち、あるいは人の不平不満を見聞きするうちに、どんどん不満が増えてきた経験はないだろうか?

一方、感謝しようと努めるうちに、感謝すべきことがたくさん見えてきたという経験はないだろうか?

不平不満は、価値のない物事の典型だ。

不満に身を任せているうちに、頭の中に無価値なゴミが溜まる。

そうすると、自由に使えるスペースが減っていく。

だからこそ、不満ではなく感謝に注意を向ければ、世界の見え方は変わる。

後悔、妬み、将来への不安という「不足思考」が消える。

そして、順調だ、恵まれている、将来が楽しみだという「充足思考」へ考え方が変わる。

足りないものに目を向けると、すでにあるものが見えなくなる。

すでにあるものに目を向ければ、心はどんどん満ち足りていく。

自分のもっているものに目を向ければ、足りないものが手に入る。

感謝は強力な触媒だ。

「拡張ー形成理論」という心理学の理論によれば、ポジティブな感情はよい影響をどんどん広げる性質がある。

視野が広がり、新たな可能性に目を向け、心が開放的になり、創造性が高まり、社交性が増す。

さらに、周りの人たちにも広がっていく。

♢不満と感謝の方程式

著者の妻、アンナは苦手な同僚と働いたことがある。

その同僚はいつもネガティブなことばかり言う人だった。

精神的にも肉体的にもきつかった。しかし、その同僚のために仕事をあきらめたくはない。

なんとかポジティブな関係に転換できないかと考えた。

はじめは困難に思えた。しかし、じっくり考えるうちに、同僚の嫌なところは見方を変えればポジティブに解釈できることがわかった。

たとえば、「この仕事はつまらない」と言えば、つまらなくても仕事をしてくれてありがたいと解釈した。

こうしているうちに、同僚のいいところがどんどん見えてきた。

そこで、思い切って同僚の長所を褒めてみた。

褒められることに慣れていなかったため、同僚は驚いていたようだった。

それからポジティブなフィードバックを受けとるうちに、同僚の気分はポジティブになっていった。

やがて、同僚と妻のアンナは仲良くなり、本当の友人になった。

スタンフォード大学で行動デザインラボを創設したB・J・フォッグによると、新しい習慣づくりのコツは既存の行動に新しい習慣を組み合わせることだ。

「Xをしたら、Yをする」という簡単な法則で、習慣づけは驚くほど容易になる。

これを応用すれば不満を感謝に変えることができる。

不満をひとつ感じたら、感謝をひとつ見つけてみよう。

♢ネガティブな感情を解雇する

クリス・ウィリアムズは、人生の最優先事項を知っていた。

家族だ。

彼にとって家族とは、何にも代えがたい価値のあるものだった。

ところが、2007年のある冬の日、悲劇が起こった。

家族を乗せて車を運転していたとき、若者が運転する車が横から突っ込んできたのだ。

11歳の息子、9歳の娘、ウィリアムズの妻、そして妻のお腹にいた赤ちゃんが亡くなった。

6歳の息子はかろうじて生き延びた。そして、14歳の息子は友人の家にいて事故にはあわなかったが、ショックでふさぎ込んでしまった。

事故の数分後、大破した車の中で、ウィリアムズの意識は奇妙に明瞭だった。

その瞬間、悲劇のど真ん中で、彼は2種類の未来を想像した。

ひとつは、怒りと苦しみを背負いつづける未来。

もうひとつは、そうした重荷から解き放たれた未来。

生き残った息子たちの心身の傷が治ったとき、そばにいてやれる父親になる未来だ。

この道を選ぶのは簡単ではないが、選びとる価値のある未来だと思えた。

その瞬間に、彼は許すことを決意した。

怒りや苦しみがなかったわけではない。しかし、苦しみに流されて加害者への恨みを抱え続けるべきではないと思った。

エネルギーを未来のために、過去を手放すことを選んだのだ。

心の貴重なエネルギーを、恨みや不満に費やしてしまったことはないだろうか?

ウィリアムズの話しは、悲劇の中でさえ怒りや恨みを手放すことが可能だということを教えてくれる。

本当に大切なもののために困難な道を選びとることができる。

そのために、少し変わった質問をしてみよう。

「この怒りをなんのために雇用したのか?」

怒りの感情を雇用する目的は、満たされないニーズを満たすためだ。

だが、業績はどうだろうか?怒りはあまりいい仕事をしているようには思えない。

役にたたないなら、すぐに解雇しよう。

自分を傷つけた人に対するネガティブな感情を手放してみよう。

自分自身を解放するためだ。

怒りや不満を、感謝や思いやりに変えてみよう。

それをするたびに、私たちは少しずつエフォートレスな精神に近づくことができる。

結び

不満や恨みといったネガティブな感情に囚われていては、本当に大切なことに集中できません。

あなたの経験と英知を活かすため、今一度自分の中の不要な「荷物」を見つめ直し、思い切って手放すことから始めましょう。

感謝の気持ちを大切にし、前を向いて歩んでいけば、仕事と家庭の両立につながる新しい視点が開けるはずです。

この貴重な機会に、あなた自身を開放し、より豊かな人生を手に入れる第一歩を踏み出しましょう。

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