第17章 前進-小さな一歩を積み重ねる-

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はじめに

人生の目標に向けて着実に前進するには、小さな進歩を積み重ねていくことが大切です。

心理学の研究でも示されているように、ちょっとずつでも前に進んでいると実感できることが、私たちのモチベーションを高め、高いパフォーマンスを可能にするのです。

この章では、そんな地道な進歩を促進するための、エッセンシャリストたちの賢明な”しくみ作り”をご紹介します。

些細な善行を認め合い、目標への小さな一歩一歩を喜び合う。

そうした工夫から、思わぬ大きな成果が生まれるかもしれません。

文字数にして約2000字です。
時間にして約5分で読むことができます。

第17章 前進
-小さな一歩を積み重ねる-

心理学の研究によると、人間のモチベーションに対してもっとも効果的なのは「前に進んでいる」という感覚である。

最近の研究では、テレサ・アマビルとスティーブン・クレイマーが「日々のささやかな進歩」こそがやる気を引き出し、高いパフォーマンスを可能にすると結論づけた。

ちょっとした善行を褒めるというやり方は、小さな成功を認めることの大切さを教えてくれる。

仕事でも家庭でも、このような小さなしくみをつくることはできる。

著者は子育てに「ポジティブ・チケット」というシステムを取り入れた。

「ポジティブ・チケット」というのは、カナダのリッチモンド市で警察が導入した制度のことだ。

どのような制度かというと、善い行いに対して切符を渡すしくみだ。善行に対する切符だから「ポジティブ・チケット」だ。

善い行いとは大きなことではない、ゴミをゴミ箱に捨てる、ヘルメットをかぶってバイクに乗る、学校に遅刻しない。小さな善行に対して切符を渡した。

さらに、この切符は引換券の役割を持たせた。切符を利用して映画館やコミュニティセンターを無料で利用できる。

著者の導入した「ポジティブ・チケット」に話を戻そう。

子育てでの悩みは、子どもたちのデジタル機器依存だった。

子どもたちはそれらに夢中になり、くだらない娯楽に多大な時間を費やしてしまう。

時間を制限しようとしても見張っていなければならないし、子どもたちは猛烈に反発した。

そこで、著者は「ポジティブ・チケット」の例にならい、デジタル機器を使用するのにチケット制を導入した。

週の初めにチケットを10枚渡す。チケット1枚につき、30分デジタル機器を使用できる。

しかし、使わずにとっておくと、1枚につき50セントと交換できる。

1週間、デジタル機器を我慢すれば週の終わりに5ドル手に入る。

また、ボーナスポイントとして、読書を30分間したら1枚チケットを手に入れられるようにした。

結果は大成功。デジタル機器を使用する時間が10分の1に減り、読書の時間が増えた。さらに、著者が子どもたちを見張る必要もなくなり、有意義なことに時間を使えるようになった。

このように、しくみをつくるためのわずかな努力のおかげで、その後のすべてがスムーズにまわる。

小さな成功を褒めて、地道な進歩を促進する。

この章では、いくつかの具体的な例を紹介する。

♢最小限の進歩を重ねる

シリコンバレーでよく耳にする「完璧をめざすより、まず終わらせろ」という言葉がある。

これは品質を無視しろと言っているわけではなく、瑣末なことに気をとられず、本質をやりとげろという意味だ。

これの考えを基本にして、「重要なことをやりとげるために、最低限、意味のある進歩は何か?」を考えてみよう。

著者は『エッセンシャル思考』の執筆にも「実用最小限の進歩」を利用している。

まだ、書き始める前の構想段階で、アイデアの一部をツイッター(現X)で

公開することを最小限の進歩に定義した。

もし、反響があれば、それをブログ記事に発展させた。

このような小さな進歩の繰り返しによって、自分のアイデアと人びととのニーズの接点を少しずつ探っていった。

少人数でも人に見せてフィードバックをもらいながら改善していく。

少しずつ進むから無駄な努力をしなくて済む。

♢「早く小さく」始める

重要な締め切りに向かうとき、2つのアプローチが考えられる。

早く小さく始めるか、遅く大きく始めるかだ。

「遅く大きく」というのは最後の最後ですべてやろうとすること。締め切り間近に本気を出して、徹夜でなんとか終わらせることだ。

一方、「早く小さく」というのは、できるだけ早い時期に着手し、軽い負担で終わらせること。

たとえば、2週間前に10分間の準備をするだけで、締切り前の負担がかなり軽くなる。

ほんの少し準備しておけば余計な苦労をしなくて済む。

♢進歩を目に見える形にする

あなたは小学生のとき、目標達成のためにすごろくシートのようなものを使ったことがあるだろうか。

小さく進歩するたびに、シールを貼ったりスタンプを押したりして、だんだんゴールに近づいていく。

日々の進歩が目に見えて、ワクワクしたものだ。

単純に、ゴールに近づく様子が目に見えるのは嬉しい事だ。

それはいくつになっても変わらない。

小さく始めて、日々の小さな進捗を評価する。それを何度も繰り返す。

小さな達成を繰り返せば、目標までの道のりが楽しくなり、満足感の満ちたものとなるはずだ。

結び

日々の生活の中で、あなたは目標に向けてどれだけ前進できているでしょうか。

エッセンシャリストたちのように、小さな一歩を喜び、着実に積み重ねていけば、遠大な目標でも自然と近づいてくるはずです。

まずは、家族や職場で小さな善行を称え合う「ポジティブ・チケット」のようなしくみを取り入れてみましょう。

ささやかな進歩を視覚化し、日々の前進を実感できるようにするのです。

そうすれば必ずや、新たなモチベーションが生まれ、充実した毎日が待っているはずです。

今こそ、エッセンシャリストの知恵を活かし、楽しみながら大きな成果を積み上げていきましょう。

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