第12章 キャンセル -過去の損失を切り捨てる-

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はじめに

あなたにとって、「後に引けなくなった」と感じる経験は少なくないかもしれません。

例えば、つまらない映画を最後まで見続けたり、別れるべき相手との関係を続けたりすることがあります。

その理由の一つが、「サンクコストバイアス」です。

この心理的傾向は、過去に支払ったコストだけでなんとか価値を見出そうとする傾向を指します。

では、なぜこのような状況に陥ってしまうのでしょうか?

そして、その対処法はあるのでしょうか?

この記事を読むことで、あなたは過去の損失に縛られず、自己成長やシンプルな人生を手に入れる方法を学ぶことができます。

文字数にして約2200字です。
時間にして約5分で読むことができます。

第12章 キャンセル -過去の損失を切り捨てる-

あなたには「後に引けなくなった」経験はないだろうか?

チケットを買ってしまったという理由だけで、つまらない映画を最後まで見続ける。

いったんバスを待ちはじめると、タクシーを捕まえるのが悔しくて、いつまでもバスを待ち続ける。

別れた方がいいとわかっているのに、うまくいかない相手との関係を切ることができない。

なぜこのようなことが起こるのか?

理由のひとつは「サンクコストバイアス」である。

サンクコストとは埋没費用と意味。既にお金や時間を支払ってしまったお金や時間のことを言う。

つまり、サンクコストバイアスとは、既になんらかのコストを支払ってしまったという理由だけで、損な取引をつづける心理的傾向のことだ。

非エッセンシャル思考の人は、損切ができず、いつまでも駄目な投資を続ける。

エッセンシャル思考の人は、過ちを認めて駄目な行動を切り捨てる。

♢途中でやめることはなぜ難しいのか

いったん所有してしまうと失うのが怖くなる「授かり効果」という心理的バイアスがある。

「授かり効果」は「所有」という概念が大きく影響している。

たとえば、何年も読んでいない本。箱に入ったままの食器。誰かにもらって一度も袖を通していない服。

なんの役に立つわけでもないのに、所有しているという理由だけで、失うのがもったいないと感じてしまう。

♢上手に手放すテクニックを身につける

「サンクコストバイアス」や「授かり効果」は品物だけではなく、行動にも当てはまる。

たとえば、自分がリーダーをつとめているプロジェクトは、利益が出ていなくても存続させたいと考えてしまう。

自分が主導している企画からは、なかなか手を引きたくない。

そんなときに、上手に手放すためのヒントを紹介する。

・持っていないふりをする

心理学者のトム・スタッフォードは、授かり効果に対する強力な対抗策を紹介している。

「どれくらいの価値があるか?」と考えるかわりに、「まだ、これを手にしていなかったら、手に入れるのにいくら払うか?」と考える。

仕事やその他の活動でも同じテクニックが使える。

たとえば、思わぬチャンスが舞い込んできたとき、「このチャンスを逃したらどう感じるか?」と考えるかわりに、「もし、まだこのチャンスが手に入っていなかったら、手に入れるためにどれだけのコストを払うか?」と考えてみよう。

・「もったいない」を克服する

オハイオ州大学教授のハル・アークスは、「なぜ、子どもよりも大人のほうが、サンクコストバイアスにとらわれやすいのだろう」と考えていた。

アークスはその答えが、「もったいない」と言われつづけたことにあるこという結論に達した。

無駄は悪だという考え方が染みついているから、すでに使ったお金や時間を捨てることができないのだ。

・失敗を認め、成功に向かう

自分の失敗を認めたとき、初めて失敗は過去のものになる。失敗した事実を否定する人は、けっしてそこから抜け出せない。

失敗を認めることは恥ずかしいことではない。失敗を認めるということは、自分が以前よりも賢くなったことを意味するのだから。

・靴に足を合わせる心理

周りの要求に応えようとして、自分ではない誰かになろうとしていないだろうか?

自分には合わないとわかっているのにどうしても認めたくない。

そんな時は、第三者の意見を聞いてみるといい。

何の利害もない立場からのアドバイスは、執着を断ち切るのに役に立つはずだ。

・現状維持バイアス

「現状維持バイアス」とは、いつもやっているからという理由でそれをやめられない心理傾向のことをいう。

当たり前のようにそこにあるものを、人は無条件に受け入れがちだ。

このバイアスから自由になるためにどうすればよいのだろうか?

・ゼロベースで考える

現状維持バイアスから自由になるために、ゼロベースで考えるというテクニックがある。

たとえば、今の時間の使い方をいったん忘れて、何も予定が無い状態にする。そして、今日やるべきことをゼロから考えてみる。

これはお金の使い方や人間関係などのあらゆることに応用できる。

まっさらな状態から、時間やお金やエネルギーの使い方をあらためて考えてみよう。

ただ惰性でつづけていることは、すぐにやめるべきだ。

・流れで引き受けるのをやめる

非エッセンシャル思考の人の日常は、なんとなく引き受けてしまった約束であふれている。

たとえば、同僚と話していたら、プロジェクトに参加することになってしまった。

友人と食べ物の話をしていたら、新しいレストランに行くことになってしまった。

これを防ぐためには、何かを言う前に5秒待つといい。

「これは重要か?」と考えてみよう。

・これをやめたら損をする?

たいていの人は、損をするのが大嫌いだ。だから「これをやめたら、何か大きなものを逃すのではないか?」という不安でどうでもいいことをやりつづけてしまう。

その不安を克服するため、「逆プロトタイプ」という考え方を紹介する。

「逆プロトタイプ」とは、今やっていることを試験的にやめてみて、不都合があるかどうか確かめてみるのだ。

じつは、周りの為に苦労してやっていたことが、なんの意味もなかったということがあるかもしれない。

以上、これらのテクニックを使っても、何かをやめることは簡単ではない。

しかし、さまざまな心理的バイアスにとらわれず、きっぱりと「やめる」スキルを身につければ、人生はもっとシンプルになる。

結び

いかがでしたでしょうか?

あなたの人生において、過去の損失を切り捨てることができるかどうかは、今後の幸福に大きな影響を与えるかもしれません。

この記事で紹介されたテクニックを活用し、サンクコストバイアスや授かり効果から解放され、過去の損失にとらわれずに前進しましょう。

自分自身の幸福を優先し、シンプルな人生を手に入れるために、今日から行動してみませんか?

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