はじめに
[概要]
エフォートレス思考(著者:グレッグ・マキューン、かんき出版)
の要約です。
エフォートレス(Effortless)とは、「努力を要しない」や「楽な」といった意味です。
本書はPrologue, PART1~3, Epilogueで構成されています。
この記事ではPrologueの部分を要約しています。
内容は全て本書から引用しています。
[分量]
ページ数にして23ページ分。
1ページ約1分とすると、約23分で読む分量です。それを約7分で読めるように凝縮しました。
ちなみに、妻は7分で読みました。
この本は、こんな人におすすめです。
・努力を最小にして成果を最大化したい人
・頑張ることに違和感を感じている人
・大変な状況を楽にしたいと思っている人
ブログで著者についてや本の感想を書いています。気になる方はぜひどうぞ。
Prologue
エフォートレス思考とは
パトリック・マクギニスは優秀な人間だった。
名門大学を卒業し、ハーバート・ビジネススクールで経営を学び、超一流の金融機関に就職した。
仕事は多忙を極めた、週の労働時間は80時間に達し、休みはまったく取れない。
体調が悪くても休むわけにはいかず、重役会議の最中にトイレに駆け込んで吐いたこともある。顔色が真っ青だと言われたが、根性で乗り切った。
「人間は努力してこそ一人前だ」
彼には、そういう価値観を刷り込まれていた。
2008年、彼の勤めていた巨大企業が実質的に破綻した。
企業の名前はAIG。金融危機のダメージをもろにくらい、彼が保有していた株が97%値下がりした。
いままでやってきたことは、すべて無に帰した。
「頑張って働けば、どんな問題も解決できると思ってました」と彼は言う。
しかし、どんなに頑張ったところで、利益率はマイナスだった。
では、どうすればいいか?
選択肢は3つだった。
1.このまま死ぬまで頑張り続ける
2.成功をあきらめて楽な仕事をする
3.頑張らない働きかたでうまく成功を手に入れる
彼が選んだのは3つめの選択肢だった。
彼は役員の座を手放し、コンサルタントとして会社にとどまった。
定時に帰宅するようにし、週末にメールをチェックするのもやめた。
睡眠時間も増やし、運動も始めた。だんだんと生活が楽しいと感じられるようになった。
彼はこの経験から、大きな教訓を得た。
頑張ってもうまくいかないなら、別の道をさがしたほうがいい。
これを読んでいるあなたはどうだろう?
こんな風に感じたことはないだろうか?
・走っても走っても、ゴールに近づけない
・もっと成果を出したいのにエネルギーが足りない
・このままでは燃え尽きてしまいそうだ
・いったいどうして、こんなに何もかも大変なのか
ひとつでも思い当たるなら、本書はあなたのためにある。
♢どうしてこんなに何もかも大変なのか
人生は潮の満ち引きのようなものだ。
何事にもリズムがある。
ところが、現代人はひたすら頑張り続けている。
くたくたに疲れていなければ、サボっていると言われる。
つぶれるまで働かなければ、ダメなやつだと言われる。
ゴールは人の限界を超えたところにあるみたいだ。
頑張りが成果につながることは事実だ。だが、それには限界がある。
つぶれるまで頑張ったのに、結局は何も得られない。
そこで、ためしに逆のアプローチをとってみたらどうか。
限界を超えて頑張るのではなく、もっと簡単な道を選んでみたらどうだろう。
大事なことを言おう。
働き過ぎはけっして名誉ではない。
♢大きな石が多すぎる
著者は、前著『エッセンシャル思考』を出版したあと世界中を飛びまわった。各地で公演をし、サイン会を開き、大切なメッセージを人々に語った。
世界中を飛び回る一方で、著者は4人の子どもの父親だ。
著者にとって家族は最優先事項だ。どんなに忙しくても、彼らの為に時間を割いてやりたいと思っていた。
その時間を捻出するために、優先順位の低い仕事をどんどん削っていった。
本の執筆も断った。スタンフォード大学の講師の仕事も少なくした。新しいビジネスもいったん保留にした。
これ以上削れないというところまで削った。
ところが問題はそれでも忙しすぎることだった。
著者はエッセンシャル思考を体現しようと頑張っていたが、別の問題に直面していた。
本質的なことだけに絞り込み、しかしそれでも多すぎるときには、どうしたらいいのだろう?
出張先の夜、ホテルでそんなことを考えているとき、スマホが鳴った。息子のジャックからだった。めったにないことなので心配になった。なんだか顔色が悪くおびえているようにも見える。
後ろから妻のアンナが「画面をこっちに向けて、映して」とジャックに言った。
ジャックはなんとか状況を説明しようとしていた。
「イヴが大変なんだ…ご飯を食べていたら、急に頭がガクガクして…だからママがパパに電話しなさいって」
娘のイヴが、てんかん発作を起こしていたのだった。
なにを考える暇もなく、急いで荷物を詰め込み、夜行便で家族のもとへ飛んだ。
それからはストレスの連続だった。病院に通い、医師と何度も話し合った。
そんな緊急事態でも仕事が消えてなくなるわけではなかった。
重荷は限界を超え、すっかり燃え尽きてしまっていた。
気が焦るばかりで、なにもうまくいかない。
まるで非エッセンシャル思考だ。
正しい基準で、正しい事をやろうとしていた。
しかし、やり方が間違っていた。
そのときのやり方は、まるでパン生地をこねる機械を持たずに、手ごねで大量のパンをつくるパン屋のようなものだった。
あなたにも、覚えはないだろうか。
本当に大事な仕事をやっているのに、どこか楽しめない。
全力を出しているのに、全然足りない。
エッセンシャルな仕事だけをやっているのに、なぜか時間がない。
もっとやりたいことがあるのに、どこにも余裕がない。
力ずくで成果を上げても、疲れすぎて喜ぶ元気もない。
そんなあなたに伝えたいことがある。
今のやり方が唯一ではない。
エッセンシャル思考は、「なにを」やるかを教えてくれた。
エフォートレス思考は、「どのように」やるかを極める技術だ。
誰だって、本当に大事なことをしたいと思っている。
問題は、どんなにやる気があっても、リソースが限られていることだ。
本当に大事なことで成果を出したいと思うなら、働き方と生き方を根本的に変える必要がある。
力ずくで頑張るのではなく、いちばん楽なやり方で最優先事項に取り組もう。
力を抜くことは、後ろめたいかもしれない。
だが、力を抜いて成果を出すのは、けっして怠惰なことではない。
もしも瑣末なものごとが困難になり、本質的なものごとが簡単になったら、いったい何が起こるだろう?
エフォートレス思考とは、働き方や生き方を、すっかり変えてしまう試みだ。
♢エフォートレス思考の3ステップ
本書は3つのパートにわかれている。
概要は以下の通り。
PART1 エフォートレスな精神
ー頭のガラクタを片付けて、余裕のマインドを手に入れる
PART1では、エフォートレスな精神を手に入れるための、実践的な方法を紹介する。
PART2 エフォートレスな行動
ーもっとも効率のいいポイントを見つけて、余裕で最高の成果を出す。
PART2では、やるべきことをなるべくシンプルに、簡単にやり遂げる方法を紹介する。
PART3 エフォートレスのしくみ化
ー行動を自動化し、成果が勝手についてくる仕組みをつくる
PART3では、余裕で成果を上げ、さらに余裕で出した成果が勝手に増える方法を紹介する。
エフォートレスな精神、行動、そしてしくみ化とは、どういったものか?
バスケットボール選手のフリースローを想像してほしい。
最初に選手は「ゾーン」に入る。その後、集中力を高める儀式として、何回かボールをバウンドさせる。どんどん頭の中がクリアになっていく。
これがエフォートレスな精神だ。
次に選手は膝を曲げて、肘を正しい角度にセットする。そして最小限の動きでボールを手放す。この段階で選手は頭を使っていない。ただ流れに任せて実行する。
これがエフォートレスな行動だ。
最後に、選手が放ったボールはきれいな弧を描いてゴールに吸い込まれる。けっしてまぐれではなく、プロの選手は何度でも正確なフリースローを再現することができる。
これがエフォートレスのしくみ化だ。
♢いちばん大事なことを、いちばん簡単にする
本書の目的は、ただひとつ。
エフォートレスな状態を、もっと頻繁に、もっと確実に体験してもらうこと。
これを読んでいるあなたにもこんな経験があるはずだ。
リラックスしている状態で、気付いたらゾーンに入っていた。
頑張りを少し減らしてみたら、以前よりもよい結果が出せた。
ちょっとした自動化のしくみをつくったら、そのあと何度も役立った。
もちろん、人生のすべてがエフォートレスになるわけではない。
それでも、以前は不可能に思えたことがいくつも可能になり、だんだん簡単になる。
やがてエフォートレスになれば、人生に大きな余裕ができるはずだ。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事では『エフォートレス思考』Prologueについて要約しました。
次回は『エッセンシャル思考』PART1、エフォートレスな精神についての記事です。
Prologueでも説明した通り、頭のガラクタを取り除き、余裕を手に入れる方法の紹介です。
それではまた、お楽しみに。