【要約】『エフォートレス思考』 PART 2

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目次

はじめに

この記事を開いていただきありがとうございます。

[概要]
エフォートレス思考(著者:グレッグ・マキューン、かんき出版)
の要約です。
エフォートレス(Effortless)とは、「努力を要しない」や「楽な」といった意味です。

本書はPrologue, PART1~3, Epilogueで構成されています。
この記事ではPART2の部分を要約しています。
内容は全て本書から引用しています。

[分量]
ページ数にして61ページ分。
1ページ約1分とすると、約1時間で読む分量です。それを約20分で読めるように凝縮しました。
ちなみに、妻は19分で読みました。

この本は、こんな人におすすめです。
・努力を最小にして成果を最大化したい人
・頑張ることが正義だと思っている人
・大変な状況を楽にしたいと思っている人

ブログで著者についてや本の感想を書いています。気になる方はぜひどうぞ。

『エフォートレス思考』を読んでの感想 | 「技術」が9割 『エッセンシャル思考』の次作です。 『エッセンシャル思考』は「何をやるか」を見極める技術。『エフォートレス思考』は「どのよ hata-toshi.com

『エフォートレス思考』PART1の要約はこちらからどうぞ。https://note.com/embed/notes/nd873df9f6f9c

【お願い】
読むためにかかった時間をコメント欄に書いていただけると嬉しいです。

みなさんの「文字数に対して読む時間」を知りたいです。
今後の要約をする際の参考にさせていただきたいと思っています。

ご協力をお願いします。

PART2
エフォートレスな行動

ノースカロライナ州立大学のラリー・シルバーバーグ教授は20年以上にわたり、数百万本のフリースローを研究してきた。

研究の結果、フリースローを成功させるための重要な要素は、ボールを手放すときのスピードであることがわかった。

最適なスピードでボールを投げるために、何度も練習して正しい力加減を筋肉に覚えさせる必要がある。

いちど体に覚え込ませてしまえば、あとは苦労しなくても自然にフリースローが入るようになる。

これがエフォートレスな行動だ。

フリースローをするときに力が入りすぎると失敗する。

これは仕事でも同じだ。
力が入りすぎると、思うような成果が出ない。

あるポイントを超えると、努力の量は結果に結びつかなくなる。
むしろ、パフォーマンスが落ちる。


経済学ではこれを「収穫逓減(しゅうかくていげん)」の法則と呼ぶ。

あなたにも経験がないだろうか。
人と仲良くなろうと頑張りすぎて、相手に引かれる。
仕事で評価されようと必死になりすぎて、逆に能力のない人だと思われる。
眠らなければと焦りすぎて、目が冴えてしまう。

そもそも、ものごとが本当にうまくいっているときは、頑張る必要はない。

何も考えなくても体が動く。時間を忘れ、ただ目の前のことに没頭できる。
ゾーンやフロー、ピークエクスペリエンスとも呼ばれる状態だ。

東洋哲学では、この状態を「無為」と呼ぶ。
無理に何かをしようとせず、流れに任せてエフォートレスに成果を出すということだ。

PART2では、より少ない努力で、余裕の成果が出せるようにするために、
エフォートレスな行動の身につけ方を紹介する。

第6章 DEFINE -目標-
ゴールを明確にイメージする

仕事を困難にする確実な方法はなんだろうか?

それは、ゴールをあいまいにすることだ。

今から約400年前、スウェーデン国王のグスタフ2世は、艦隊を強化する必要に迫られていた。

今のままでは周辺諸国の強力な海軍から国民を守ることができない。

国王は造船技師のヘンリック・ヒベルツゾンを雇い、巨大な戦艦を作らせることにした。

「強い船ができるなら、リソースはいくらでも提供する」と国王はヘンリックに言った。

だが困ったことに、国王は船の完成イメージを明確に描いていなかった。

言うことがころころ変わる。
たとえば、はじめは船の長さは33メートルを予定していた。
しかし、37メートル、40メートルとどんどん長くなっていった。

造船チームは多大な労力を払って国王の注文に応えようとしていた。
だが、完成が近づくたびに国王は別の注文をだしてくる。

しまいには、あまりのストレスにヘンリックは心臓発作を起こしてしまった。

終わりの見えないプロジェクトはそれでも続いた。

そんな調子で、1628年8月10日にヴァーサ号は未完成のまま出航の日を迎えた。
試験航海すら十分にできていなかった。

ヴァーサ号が港を離れ、空にむかって祝砲を撃とうとしたそのときだった。
突風でバランスを崩してヴァーサ号は沈没した。

沈没するまでの時間はわずか15分だったという。
53人の乗組員は、港から1キロほどのところで命を落とした。

国王が完成像を明確にせず、最後まで使用を変更したせいで
このプロジェクトは失敗に終わった。

プロジェクトを終わらせるためには、明確なゴールが必要不可欠だ。

プロジェクトに着手する前に、まず「完了」のイメージを明確にしよう。

♢修正しすぎてはいけない

重要なプロジェクトが終わらない原因のひとつは、いつまでも手を加えつづけることだ。

本を書くことも、プレゼンを準備することも、船をつくることも同じだ。

修正しようと思えばいくらでもできる。

だが、あるポイントで完了させないと、あとは手間ばかりかかってしまい効果はほとんど得られない。

修正にかかる労力や時間が、それによって得られるリターンを上回ってしまう。

時間と労力を無駄にしないためにも、完了といえる明確な条件を設定し、そこにたどり着いたら終わらせよう。

♢1分間でゴールをイメージする

明確なゴールを心に描くことは、終わらせるためだけではなく始めるためにも有効だ。そうすることで、進むべき道が驚くほどクリアになる。

先延ばし癖のある人は、まず何をすべきかというゴールが明確に描けていないことが多い。

たとえば、「痩せたい」というゴールがあったとする。
それをもっと明確にして「体重計を見下ろし、○○kgという数字を見ている自分」をイメージする。

仕事でも同様に、重要なプロジェクトにとりかかるときは1分間だけ目を閉じて、作業が終了したときのイメージを思い浮かべてみよう。

やるべきことが明確になれば、集中力が格段に上がる。
そこに向けて進むための意欲とエネルギーが湧いてくる。

1分間、目を閉じて心を集中させ、ゴールのイメージを明確にしてみよう。

♢「今日の完了」リストをつくる

多くの人は大量の「やること」を抱えている。
1日を終えてみると、「やること」がさらに増えていたという経験はないだろうか?

そんな日が続く中で、どうしたら「完了」がやってくるのだろうか?

著者が活用しているのは、「今日の完了リスト」だ。

もっとも重要で、意味のあることだけをリストに入れる。

リストをつくるときのコツは、完了したときにどんな気分になるかを想像することだ。

「このリストを終わらせたら、1日の終わりに満足した気分になれるだろうか?」と考えよう。

これを終わらせてもまだ、気がかりで夜も眠れないようなタスクが残っていたら、それは今日の完了リストに入れた方がいい。

♢自分の人生のミッションは何か

前述した「今日の完了リスト」は人生においても応用できる。

著者は以前から、人には必ず人生でやり遂げるべきミッションがあると考えてきた。

自分はなんのために生きるのか?

その答えを見つけることが、私たちのライフワークだと言っていいのかもしれない。

それはつまり「人生の完了リスト」だ。

著者の友人はここ数年で脳卒中を2回起こした。
2回目はかなり重く、もう助からないかもしれないと言われた。

だが、彼女は生き残った。

もう一度チャンスを与えられた今、彼女は最後のミッションをやり遂げることに集中している。

ひとつは自伝を書くこと。
もうひとつは作曲した音楽にオーラルヒストリーをつけることだ。

毎朝目を覚ますと、彼女は人生の目的を意識し、「死ぬまでに完了できますように」と祈りを捧げる。

人生の完了リストが完全に明確になっている状態だ。

これを読んでいるあなたも、残りの人生で成し遂げるべきゴールを明確にしてみてはどうだろう。

第7章 START -始動-
はじめの一歩を身軽に踏みだす

Netflix(ネットフリックス)は今や世界で1億8300万世帯(出版された2021年時点)の顧客を持つ動画ストリーミングサービスだ。

このサービスが生まれたきっかけは、創業者のリード・ヘイスティングスがレンタルビデオ店で借りた『アポロ13』のビデオを紛失し、40ドルの罰金を請求されたことだった。

こんな思いをしなくてもいいように、もっとマシな映画レンタルの方法を作りたい、とヘイスティングスは考えた。

Netflixは、ネットでレンタル注文をしてDVDを郵送で貸出と返却をするサービスをする会社として創業した。

しかし、彼がまずやったことは1枚のCDを自分あてに送ることだった。

もしDVDが配送中に壊れてしまうなら、何をどんなに考えたところでビジネスは不可能だ。

共同創業者のマーク・ランドルフと一緒にレコードショップでCDを購入した。それから、グリーティングカードを入れるような封筒に入れて、自分あてに郵送した。

CDは壊れずに自宅に届いた。

彼らは考えられるなかでも一番シンプルな一歩を踏み出したのだった。

彼らは当初、壮大なビジョンを持っていた。
その完成形は、現在のNetflixのように大量のコンテンツを提供する、グローバルなストリーミングサービスだ。

だが、複雑で壮大なロードマップを描く代わりに、彼らは考えられるなかでもっともシンプルな一歩を踏み出した。

彼らのように、やるべきことを分解し、最小のステップに落とし込み、もっともシンプルな行動から始めてみよう。

♢最小限の機能で最大限の学びを得る

何かに取りかかるとき、頭の中でさまざまなシナリオを練り、ただ悩むことに多くの時間と労力を費やしていないだろうか?

デザイン思考の原則に、MVP(実用最小限の製品)というものがある。

『リーン・スタートアップ』の著者エリック・リースは、MVPを「最小限の努力で顧客の反応を最大限に知ることのできるバージョン」と定義する。

つまり、フィードバックを得るという目的に特化し、機能を最小限に抑えた製品をつくる。

そうすることにより、無駄な労力を費やすことなく「最初の一歩を踏み出し」、顧客の求める製品を作り上げることが可能になる。

たとえば、Airbnb(エアビーアンドビー)の例を紹介しよう。

Airbnbは、空き部屋を短期間で貸したい人と、旅行などで宿泊地を借りたい人をマッチングするサービスを提供している。

Airbnbは、なんの飾りもないウェブサイトにアパートメントの写真を数点載せただけ、という非常にシンプルな方法でサービスを開始した。

まもなく、3人の顧客がアパートメントのレンタルをしてくれた。
そしてその顧客のフィードバックは、貴重な「検証による学び」をAirbnbに与えてくれた。

MVP(実用最小限の製品)を取り入れて、最小限の努力で前に進みつつ、最大限の正しい情報を得よう。

♢マイクロバーストを引き起こす

マイクロバーストとは、10分程度の短い時間に強烈な風が生じる気象現象のことだ。

積乱雲から生じる下降気流の柱は時速100キロ近くにも達し、大木が倒れるほどの勢いで地面に打ちつける。

このマイクロバーストという言葉を、10分程度の強い集中力に当てはめよう。

最初の一歩を正しく踏みだせば、やる気とエネルギーが強烈に高まり、マイクロバーストを引き起こす。

たとえば、大規模なレポートを完成させるということを想像してみよう。
最初の一歩として、紙とペンを用意する。

その後、10分程度でできることとして、レポートのアウトラインを書き上げることができる。これがマイクロバーストだ。

10分間のマイクロバーストで、モチベーションとエネルギーを高めよう。

♢2.5秒が未来を変える

最新の脳科学および心理学によると、「今」として体験される時間はおよそ2.5秒。

私たちはつねにこの2.5秒を生きていると言える。

大きな成果も突き詰めればこの小さな現在の繰り返しだ。

だが、無駄な行動をしてしまうこともある。

最近のテック企業は「今」の重要性を心得ている。

だから、最近のサービスはとても小さな単位で提供されている。

140文字のツイッター(現X)、フェイスブックやインスタグラムの「いいね」などがそうだ。

ほんの数秒のことだと思うが、始まったら止まらない。
あなたにも、いつのまにか時間が経っていたという経験はないだろうか?

そうした行動を積み重ねていると、何もやり遂げることができなくなる。

「今」の使い方を変えれば、その後の行動は大きく変わる。

2.5秒をモノにして、最初の一歩を有利に踏みだそう。

第8章 SIMPLIFY -削減-
手順を限界まで減らす

1998年2月、ペリ・ハートマンはシアトル中心部にある4階建てのビルから外に出た。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスとアマゾンのソフトウェア開発リーダーを務めるシェル・カファンとランチミーティングをするためだ。

ミーティングの内容は購入プロセスの改善について。

ハートマンは顧客の同線を分析し、各ステップを簡略化するために知恵を絞っているところだった。

オンラインショッピングが今ほど一般的ではなかった時代、数々の入力画面は顧客を混乱させていた。

実際、途中で離脱していく顧客も多かった。

ベゾスのゴールは明確だった。

「最小の努力で注文を完了させたい。何度もクリックするのではなく、一度だけですませられないだろうか」

アマゾンはワンクリック購入で特許を取り、大きな競争優位性を手に入れた。

このシンプルなアイデアが長期的にもたらした価値を正確に知ることができないが、アマゾンの業績は現在の通りだ。

♢最低限必要なステップは何か

先程の話で印象的なのは、ハートマンが購入の各ステップの簡略化の為に数カ月の時間を費やしながら、ステップ自体を減らすことを思いつかなかった点だ。

一つひとつの手順を小さく削るより、不要なステップを全部取り除いたほうが、手っ取り早くて効果が高い。

これはどんなプロジェクトにおいても同じだ。
「このプロジェクトを完了するために、最低限必要なステップは何か?」
を考えよう。

不要なステップは、単に不要なのだ。
そして、それを排除すれば重要なプロジェクトに全力を注ぐことができる。

どんな分野にもいえることだが、価値のない余計なものを付け加えるよりも、完成させるほうがはるかにいい。

完成させることはそれだけでも誇れることだ。

成功したいなら、まず終わらせよう。

各ステップを単純化するのではなく、不要なステップをなくそう。

♢必要以上の努力は誰のためにもならない

著者の子ども時代の親友は、少ない時間しか勉強しないのに、いつも著者よりいい成績を取っていた。

なぜか?

先生に言われたことだけをやっていたからだ。

著者はまったく逆だった。
必要以上に資料を読んだ。言われていないことまで調査したし、余計なことをやって、肝心のタスクが終わらないこともあった。

重要なことで「もうひと頑張り」するならいい。
だが、必要ないのに表面的な装飾を加えるとなると話は別だ。

たとえば、プレゼンでも派手なグラフィックや動画をつかってスライドを作る必要はない。

著者がプレゼンするときは、スライド6枚、1枚あたりの文字は10単語以下を目安にしている。

余分なものは自分にとっても聞き手側にとっても邪魔にしかならない。

必要のない努力はすることをやめよう。
頑張りすぎて挫折するより、最低限やるべきことを終わらせよう。

♢ゼロから始める

アップル社の優秀なプロダクトデザイナーチームはスティーブ・ジョブズをあっと言わせるつもりでいた。

彼らのデザインしたiDVD(音楽や動画、写真をDVDに書き込むアプリ。現在は廃止されている)は美しくクリーンなデザインで、多機能ながらシンプルな機能性が自慢だった。

もともとは1000ページもの取扱説明書を必要とするもので、削りに削った使い手の操作性を向上させた。

ところが、ジョブズの反応はいまひとつだった。

ジョブズはホワイトボードに歩み寄り、四角をひとつ描いた。
「これが新しいアプリケーションだ。ウィンドウがひとつ。動画をウィンドウにドラッグする。そして『作成』ボタンをクリックする。以上。そういうものをつくるんだよ」

当時のデザイナーチームは、ひどく複雑な製品からスタートし、それを小さくしようとした。

だが、ジョブズは逆を行った。

ゼロからスタートして、「最低限必要なステップは何か」を考えたのだ。

あまりに手順が多すぎて混乱しているプロジェクトがあるなら、ゼロから始めてみよう。

♢やらないことを最大限に増やす

「アジャイルソフトウェア開発宣言」は、ソフトウェア開発の無駄や難解な部分をなくし、効率的によりよいソフトウェアをつくるための原則をまとめた文書である。

その原則のひとつは、「シンプルさ(やらないことを最大限に増やす技術)が本質だ」

この原則は日常のあらゆるプロセスに適用できる。

「やらないことを最大限に増やす」にはどうするか、を考えればいい。

最終的な目標は何であれ、価値を生み出すステップだけに集中すればすべきだ。

そうすれば、本質的なことに使える時間やエネルギー、脳のリソースが増える。

やらないことを最大限に増やそう。

第9章 PROGRESS -前進-
よい失敗を積み重ねる

1959年、イギリスの実業家ヘンリー・クレーマーは、誰もが人力飛行機を利用できる未来を夢見ていた。

そこで彼は「クレーマー賞」を創設し、独力で操縦可能な人力飛行機を設計した人に多額の賞金を出すことにした。

ライト兄弟が飛行してから半世紀以上経っていたが、人力で空を飛ぶというゴールは長い間達成されていなかった。

そこに登場したのがポール・マクレディだ。

マクレディは多額の借金を抱えていたので、チームと呼べるものは存在しなかった。友人と家族に協力を頼み、息子にテストパイロットをやらせた。

競争相手は豊富な資金とスタッフを集め、「大きく、複雑で、エレガントな飛行機」を作っていた。

それでも「賞を得るには到底及ばない」レベルにとどまっていた。

マクレディにはそれが不思議だったが、ふいに気づいた。
彼らはみんな、間違った問題に取り組んでいる。

本当にやるべきことは「どんなに醜くてもいいから」軽量な飛行機を作ることだ。

肝心なのは「修理・修正・変更・再設計をすばやくやる」ことだ。

マクレディのチームは、わずか3ヶ月ほどのあいだに222回の飛行を行った。圧倒的な試行回数だった。

マクレディの飛行機は、墜落してもほうきの柄とガムテープを貼れば、5分で飛行可能だ。

ほかのチームの飛行機は一度事故が起きれば半年は飛べなくなる。

マクレディのチームは最終的にイギリス海峡の横断に成功し、クレーマー賞を受賞した。

あなたは最初から完璧を求めていないだろうか?
この章では、失敗が生み出す素晴らしいものについて紹介する。

♢ゴミから始める

多くの人は、創造のプロセスを誤解している。

優れたものや美しいものを見ると、最初から完成形で生まれてくると考えがちだ。しかし、実際はまったく異なる。

ピクサーの元CEOエド・キャットムルは
「ピクサーの作品だって、最初は見られたものではない」
と言う。

彼によると、どんなストーリーでも最初は
「ぎこちなく、不格好で、脆弱で不完全」だ。

だからこそ、彼はそのような「ゴミ」を受け入れる文化を整えてきた。

何百ものひどいアイデアがなければ、ウッディとバズはけっして生まれない。

まずは「ゴミ」から始めてみよう。

♢学習サイズの失敗を積み重ねる

あえて失敗するのは勇気がいる。失敗は怖いし、傷つく。

失敗した場合の影響が大きければ、それだけ大きな勇気が必要になる。
私たちの勇気は無限ではないので、なるべく安く失敗を経験したほうがいい。

著者と妻のアンナは、子どもたちに早くからお金の失敗を経験させることにした。

大人になってから全財産で失敗するよりも、子どものうちにお小遣いを使って失敗するほうがずっといい。

著者たちは、子どもたちに3つの瓶を用意した。
それぞれ、慈善用、貯蓄用、消費用だ。

子どもたちはお小遣いをもらったら、自分で好きな瓶に入れる。
もちろん、親はいっさい口を出さない。
自分で決めることに意味があるからだ。

息子は貯めたお金で電動レーシングカーを買ったが後悔した。
本当はレゴの大きなセットが欲しかったのに、我慢できずに使ってしまったからだ。

しかし、今度は後悔することはないだろう。
なぜなら、リスクが低いうちに、失敗から学ぶことができたからだ。

この種の失敗を「学習サイズの失敗」と呼んでいる。

重要なことを無理なく進めるために、安く失敗して、学習サイズの失敗から学ぼう。

♢最初から偉大だったものはない

安く失敗するためのもうひとつの方法は、頭の中の手厳しい批判から自分のゴミを守ることだ。

小さなミスで自分を卑下することなく、次は同じミスをしないという事実を誇りにしよう。

どんなに偉大な業績も、最初はゴミみたいなものだったということを思い出そう。

最初から偉大だったものなどないのだ。

♢「ゼロドラフト」のアプローチ

完璧さをもとめるあまり、いつまでたっても始められない人に、
「ゼロドラフト」というアプローチをオススメする。

これは、雑すぎてドラフトの最初のバージョンとも呼べないようなものを書いてみることだ。

とにかく何でも書く。
へたくそでも、どうせ誰にも見られない。誰からも批判されない。

そうやって書いてみると、想像力が簡単に湧き上がってくる。

たとえ上手くなくても、白紙よりは力がある。

不完全さを受け入れ、ゴミをつくる勇気を持てば、私たちは始めることができる。

そしていつかゴミの中から、あっと驚くようなブレイクスルーが生まれてくるはずだ。

「ゼロドラフト」に取り組んで、どんなにくだらないことでも、気にせずに書いていこう。

第10章 PACE -上限-
早く着くために、ゆっくり進む

1911年11月、イギリス軍人ロバート・スコットと、ノルウェーのロアール・アムンセルとのあいだで南極点到達レースが開始された。

生死をかけたレースは、一方のチームは勝利して生還し、もう一方のチームは帰還できなかった。

彼らの日記を読むと、2つのチームはあまりにも進み方が異なっていた。

スコットのチームは、天気がいい日には進めるだけ進んだ。
一方、アムンセルのチームはどのような天候であろうと1日に24kmのペースで進んだ。

過酷な状況のなか、南極点まで約1040kmの道のりを制覇したのはアムンセルのチームだった。

南極点到達レースの本を書いたローランド・ハンフォードによれば、アムンセルのチームが目的地に到達できた秘訣は、一定の持続可能なペースを設定したことに尽きるという。

アムンセルは毎日24km進むと決めていた。
それ以上でも、それ以下でもなくきっちり24kmだ。

アムンセルは十分な休息を取ることにこだわり、南極点にたどり着くまで一定のペースを保ったのである。

ちなみに、スコットのチームは34日遅れで、南極点に到達した。
しかし、残念ながら前述のとおり戻ってはこれなかった。

この章では、アムンセルのように一定のペースを守ることの大切さを紹介する。

♢全力疾走はリスクが大きい

最初から大きすぎるゴールを設定すると、すぐに疲れる。
疲れて休んだら、遅れを取り戻さなくてはと、焦ってさらに頑張り、どんどん疲弊する。

重要なゴールには最初から全力で走りだしたくなるものだ。
だが、最初から急ぎすぎると息切れしてしまい、結果的には遅くなってしまうことが多い。

好調と不調の波に身を任せるのは危険だ。
速く走れた日には疲れ果て、走れなかった日には後ろめたさを感じ、往々にしてイギリスの南極探検隊と同じ運命をたどる。

幸いなことにもっといいやり方がある。
エフォートレスなペースを見つけることだ。

全力疾走が速いわけではないと理解しよう。

♢やることの上限を決める

元トライアスロン選手のベン・バーガロンは、イギリス最強のアスリートたちをコーチしている。

クライアントからの要求があれば、時間外労働をする体力がないわけではない。

しかし、仕事でもプライベートでも優れたパフォーマンスを維持するために、彼はあるルールを守っている。

そのルールとは、
「午後5時25分にオフィスを出る」
というルールだ。

暇な日は午後5時25分にオフィスを出る。
忙しい日は、それでも午後5時25分にオフィスを出る。
たとえ会議中であっても、午後5時25分にオフィスを出る。

迷う余地さえない。

周囲の人も慣れたもので、話を打ち切られても気にしない。
彼の限界が午後5時25分だと知っているからだ。

南極探検でも仕事でも変わらない。

エフォートレスなペースで進める最善の方法は、上限をしっかり守ることだ。

♢ゆっくりはスムーズで、スムーズは速い

冷戦終結以降、軍は世界情勢をブーカ(VUCA)と呼んでいる。

ブーカ(VUCA)とは
不安定:Volatile
不確実:Uncertain
複雑:Complex
曖昧:Ambiguous
の頭文字をつなげたものだ。

この新たな常態に対応すべく、日々の戦場で重要なことをより簡単におこなうためのアプローチが開発された。

そのひとつが
「ゆっくりはスムーズで、スムーズは速い」
というやり方だ。

ゆっくり動けば、ものごとはスムーズになる。
ものごとがスムーズであれば、より速く動ける。

戦場だけではなく、人生や仕事でも同じだ。
日々、複雑で不確実な状況に遭遇しながらも前進するためには、適切な範囲を選択肢、その範囲内で行動する必要がある。

どんなに周到な計画を立てていても、思わぬ邪魔は入るものだ。

進捗を取り戻そうと週末まで必死に働くが、かえって仕事の質は低下し、罪悪感が増して自信を失ってしまう。

それよりも、もっと簡単な方法がある。
X以上、Y以下というシンプルなルールを設定し、必ずその範囲に収めよう。

下限は、モチベーションを維持できる程度に高く、予想外のトラブルが起こっても達成できる程度の低さにしよう。

上限は、順調に進んでいると感じられるくらいには高く、しかし疲れてしまわない程度にしよう。

エフォートレスな行動を実現するために、
X以上、Y以下というシンプルな範囲を遵守しよう。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事では『エフォートレス思考』PART2について要約しました。

次回は『エフォートレス思考』PART3、エフォートレスのしくみ化についての要約です。

「小さな努力、大きな成果」とはテコの原理にとても似ています。
テコの原理のようなパワフルなツールを使って、正しい成果を出す方法を紹介していきます。

また、読むためにかかった時間をコメント欄で教えていただければ嬉しいです。

では、次回もお楽しみに。

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